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星今宵を忘れて

 キリエと呼ばれた白い髪の少女を拾ってもよかったのだが、あいにく車は二人乗りだった。無理やり詰め込むかとも考えたが、ミシェルが降りると言うので、それじゃあと手を振った。たくさんの星が透き通って輝いていた。


「……で?」


 助手席には、ミシェルではなくキリエさんが座っている。まさにちょこんといった様子で、近くで見ると幼い少女であることがわかった。外見は中学生、いやまだ小学生くらいの年齢ではないか。髪留めの花が白に映える、あの色はミシェルの十字架と似ている。


「私、貴女にお話があります」


「そうですか。ここで? それとも、うちに来ますか?」


 この寒い路上駐車の車内で話せるような短い話でないのなら、家に帰ってこたつでビールでもあおりながら聞いたほうがいい。


 キリエさんは困った顔で、口をもにゃもにゃして呟いた。


「お話、は、長いのです」


 もしやと思い至る。どうぞと言われなければ家に上がれないように、自分から家に行きたいとも言えないのではないか。だとすれば、ハンターの言うように、制限の多い、不自由な、存在。

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