友達はいなかった。
「俺の名前は八刻大地!広島県在住!外見や内面もごく普通の高校2年生!部活は帰宅部だ!」
「まあいいだろう。気になるところもあるが」
思ったより面白くなかったという顔でこんな事を言ってくる吉沢先輩。
「やらせたならもうちょっとリアクションくださいよ!」
ちょっとした罰ゲームで叫ぶことになったが、なんで自己紹介を叫ばないといけないんだ。
「まあまあ、先輩落ち着いてください。学校の中であんな事を叫べる事自体がすごいですよ!私にはできないです!」
なんて事を言う後輩の龍谷さん。
「おっおう……ありがとな……」
心にちょっとした傷を負いながら部室に入る。
え?帰宅部ではないのかって?
あれだよ勢いで言ってるから気にしたら負けなんだよ何に負けるのか知らないけど
我々3人が所属している部活動は表向き茶道部になっている。
しかし、やっていることは茶道ではなくゲームや漫画の世界に実際になったらとか入ってしまったらどうなるのか妄想する部活なのだ!
なんでこんな活動内容になったのかは卒業した先輩に聞いてくれ。
「よし、今日はドラえ◯んの世界というテーマでやろうと思う。」
突然、真面目な顔で吉沢先輩はそう言った。
「ドラえ◯んですか、比較的妄想しやすいと思います。」
「だろ?わかってるな八切は。これでも2時間くらい考えてたんだぜ。」
「いや、ドラえ◯ん引っ張り出すのに2時間もかけないでくださいよ」
そんな事を言っていたら龍谷さんが手を挙げていた。
この部活ではいい感じのアイデアが出てきたら挙手をして発表するのだ。
ちょっと大喜利に近い部分もあるかもしれない。
「もう思いついたのか早いな」
「はい、龍谷ちゃん」
「はい!まずドラえ◯んの世界に入ったとします」
「うん」
「そうしたら我々は真面目なのでドラえ◯んが矯正しに来ないためドラえ◯んに会えずそこで物語は終了!バッドエンドなのです!」
「いや、せめてドラえ◯んに会おうよ!タイトル変わっちゃうじゃん!感動の最終回もなくなったよ!あとなんでバッドエンドになってるの!」
「真面目すぎたのか友達がいなくて……」
「さしずめタイトルは21世紀◯年だろうな」
「友達いないというか死んじゃったよ!」
「まあ、いいじゃないか」
こんな風にゆるく3人部活やってます。