1/7
泡になって消える位なら、私は貴方に刃を突き立てる。
好きで、好きで、ただ好きで。
私が生きていくことの出来ない陸の上で、貴方を一目見たその時から、結ばれたいと願った。
だから、声を、それまでの人生を投げ捨てでも、貴方を助けた。
それでも報われなかった、恋。
他の人と結ばれる貴方を見て心が潰れても
それでも、ただただ好きで。
泡になって、消えた。
それが一度目。
他の誰でもなく、自分を見てと。
貴方を助けたのは私なのだと。
声を失っても伝えられないかと
必至に他の女性に貴方を奪われるのを阻止して、
彼女を貶めて傷付けて
声なき声で思いを伝えようとしたけれど
気付けば恋に狂って、醜くなった私に背を向けた愛しい人の姿を見て
そんな自分が嫌で、消えてしまいたくて
暗い湖の中に沈んだ
それが、二度目。
好きな人を裏切れなくて、泡になって消えるなんて馬鹿みたいだと
自分が消えてしまう位なら、私はその胸に剣を突き立ててやると
恋をすることがこんなにも辛いのならば、
いっそやめてしまえばいいと
そして、自分の為に、声を失った代わりに手に入れた両方の脚で、自分の道を歩んでいけたらと。
そう思ったのが、三度目。