宅飲み女子
「今日はうちで飲まない?」
そう同僚に誘われたのは初めてのことじゃないので頷いた。
「その前にこの仕事の山を終わらせてからね」
目の前に詰まれた資料の山を見てそう言う。
まぁこの量であれば23時には帰れるだろうと予測をつける。
明日はお休みだし友人の家で宅飲みするのもいいだろう。
案の定帰宅時間は23時を超えてしまった。
それでも快く自宅に迎えてくれる友人の笑顔に安心したのまでは覚えている。
「これね、ハイボールをキリンレモンで作ったんだよ~」
「うわー甘い、ぐいぐいいけちゃうわ」
「こっちはポカリスウェットとコアントローの合わせ技―」
「いやー、おいしーい!」
「ちょっと強めでキリンレモンと白ワインも合うんだよ~」
「ぷはー!もっと飲もう!!明日は休みだもんね!!」
そこまでは記憶がある。
カーテンからのぞく光を見ればもう朝なのが分かった。
わからないことがただ一つだけある。
なぜ私は同僚と一緒のベッドに互いに裸で寝ているんだろう。
全く一切何があったのか覚えていない。
私はただ美味しいお酒を飲んでいただけのはず。
「んぁ……おはよぉ……」
カーテンの光で目を覚ました同僚の肩を掴んで揺する。
「わ、私何もしてないよね?!」
「えー覚えてないのぉ?」
「何を?!何が?!」
意味深にほほ笑む同僚が恨めしい。
「一体何があったのー?!」
真実は同僚のみぞ知る。