夢日記 □優しい愛撫 □エベレスト の二本立て
□優しい愛撫
こんな夢をみた。
「今日は○×大学ラクロス部にやって来ています」
ある日の夕方、テレビを付けると、ローカルの情報番組をやっていた。
若いレポーターの女の子が、競技場と思われる緑の芝生の上で、元気いっぱいにカメラ目線で話している。
「今日ご紹介しますのは、全国でも強豪校として知られる○×大学ラクロス部のみなさんに、全国でその名を轟かせたトレーニングをご紹介していただきます」
レポーターの女の子が後を指さすと、カメラはその指先を追い、そこには○×大学ラクロス部の部員達と思われる若者達がトレーニングをしていた。
男子は男子で、女子は女子でムカデ競走のようにそれぞれ六人で繋がり、先頭はそれぞれ異性と向き合って、肩を掴んでいる。
「○×大学ラクロス部キャプテンの後生松くんに解説をお願いします。後生松君よろしくお願いします」
「あ、後生松です。よろしくお願いします」
ガッチリとした体格の後生松君がレポーターの女の子の横に立つ。
「いまされているトレーニングはどんなものなのですか?」
「元々はチームプレイである自転車競技のトレーニングとして始まったそうなのですが、お互いの体に触れ、マッサージして筋肉の動きを感じ、そして相手の呼吸を感じる事によって、一体感を高めていくというイメージトレーニングです」
そう言われてみてみると、確かに数珠繋ぎになった若者達がそれぞれに腿や二の腕を交互に掴み、自分がマッサージしている相手のみを見つめ、その呼吸に合わせて揉む事を繰り返していた。
「さすがに男子と女子が交じってやるのはセクシャルなハラスメントになりかねないので、先頭の肩だけを揉むのが決まりになっていますね」
「さすがにトレーニングだけあって、みなさん真剣ですね」
「そうですね、ときどき揉む位置を変える事もありまして、相手がいま一番望む場所をマッサージしてあげるという気の利かせ方も重要な要素ですね」
「今日は○×大学ラクロス部の皆さんにトレーニング方法を教えて頂きました」
愛撫だろ。
□エベレスト
こんな夢をみた
エベレストに登頂した。
頂上近くには日本人の中年の夫婦が営む山小屋があり、そこに二週間ほど家族で滞在する予定だった。
取った部屋は広く、トイレと風呂も完備され、30型の液晶テレビでは、地元の番組が放送されている。
自炊する事もできるので、食材を麓のスーパーまで買い物に行く。
麓のスーパーには様々な食材が揃っていて、他の登山客で混み合っていた。
そこで付いてきていた母親が、気が付かない内にソーセージとベーコンを万引きして店員に取り押さえられたが、そこは機転を利かせて痴呆老人のフリをして警察沙汰になるのは勘弁してもらう。
母親に注意をしながら、暗くなった山道を帰っていく。
「そういえば、田中さんの圭子ちゃん。離婚して実家に戻ってきたってね」
母親が、むかし近所に住んでいた幼なじみの女の子の話を始めた。
「子供も二人いるのに、旦那さんが浮気したんだって」
ザイルを掴み
、アイスピックを氷壁に打ち込みながら、そう言えば高校の時に好きだった田代さんも離婚したってフェイスブックに書いてたななどと思い出す。
「おれ、芸人になりたいんだ」
と、会社を辞めてきて言ったので、即座に六年間の結婚生活にピリオドを打ったという。
ちなみに子供はいないらしい。
二十歳過ぎてつき合った元カノの陽子は、俺と別れたあとに三度結婚し、父親の違う子供が三人いるらしい。
なんか、縁のある女性達はみんな離婚していると思うが、そもそも自分は結婚などしたことがないので何も言う事はない。
そんな事を考えているうちに山小屋にたどり着き、その日は就寝。
尿意を覚えて目を覚ます。
まだ暗かった。
用を足していると、トイレのドアの隙間から、この山小屋のおかみさんが覗いているのに気が付いた。
「……なにか?」
「そとをごらんになって下さい。とても綺麗ですよ」
おかみさんが隙間から覗いててそう言う。
俺はトイレの窓から外を見ると、地平線から夜の暗闇がオレンジ色に変わっていくところだった。
朝である。
部屋に戻り、大きな窓からその絶景を鑑賞する。
明るくなるに連れて、空には暗雲が立ち込め始めた。
すでにここは空と言っても問題ない場所なので、窓のすぐ外で暗雲がタコ踊りの様に渦を巻いているのが見えた。
爆発でも起きたのかと思うほどの衝撃音と発光。
震える山小屋。
雷が至近距離で発生したのだった。
空気が帯電し、ビリビリする。
雷は何度も発生して、ひたすら蹲って耐えたのだった。