つかれた
ZAAL~つかれた~
その後、10分でグランドに戻されたが、本当にしんどい試合だった。
相手チームは運動量が落ちない。
ZAALのみんなは走りこんできたが、やはり試合は別物。
ツバサとマサオがゴール前、センターバックの真ん中を抜けてのワンツーのゴールで2得点。
ディフェンスは小学生離れしたといってもやはりまだ線の細いタイキとヒロキが頑張ったが、2失点。
キーパーのタローもすばらしい飛び出しでファインセーブを繰り返したが、浮き球の2失点。
ゴールが大きい・・・。
ユウヤ、リョウは走りきり、ツネが交代に入りながらもオフェンスでは脅威となりながらもディフェンス面での弱さも見えた。
タカオ、タイヨウは攻守の切り替えを何度も行い、相手の攻めを遅らせ、攻めるときは走りきった。
唯一でなかったヤマトは声がかれていた。
たった一試合だったけれど・・・。
「諦めなかったな。そして攻め続けたな」
カツコからの言葉だった。
試合中は選手交代の指示だけで、「うおおおお!!」や「グッド!!」「げっ!」等という意味のあるのかわからない声を出しただけのカツコ。
「1時間休憩な~」
次は2試合連続になるから昼寝でもしといてね~
うちは選手が少ないから選手審判出さなくていいといわれているけれど、カナコとふたりで行くから、その間は自由時間ね~」
「じゃあ、宿題しないとだめですか?」
タイキのキャプテンとしての自覚か、真剣な顔で返事をしたが・・・。
何で自由時間=宿題なんだよとみんなに突っ込まれていた。
カツコとカナコは大笑いしながら審判に向かっていった。
「でも、25分ハーフでよかったよな・・・」思わず僕は声に出した。
「確かに、後5分走れるかって言うとムリ~」ツバサが言った。
「「俺もムリ」」ユウヤとリョウの言葉。
「でも走りきれるようになりたい」タイヨウの言葉にチーム全員が首を縦に振っていた。
「体力強化だな!!」ツネオが息巻いていったときに、マサオがぼそりと・・・
「体力強化ではなく、僕たちのフットボールを考えようよ」と・・・。
「「だよな~」」
1時間の休憩の合間は合宿所の調理のおじさんが持たせてくれたバナナとはちみつ漬けのレモンをほおばりながら、作戦ボードを囲みながらそれぞれの意見を言い合っていた。
司会進行はタイキ。
次の試合の10分前になったときにマサオが話を切った。
「やっぱり、キャプテンだよね~」と。「でも、そろそろ行こうか~」と。
14人全員がこのチームになくて行けない存在だった。