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考え方

ZAAL~考え方~


本気マジか?

考えたか?

どうしたい?

どうして欲しい?


カツコがよく問いかける言葉だ。


練習二日目にしてボールを持たずにフィールドに散らばる僕たち。


「タイキにボールを落とす」

そういった僕にカツコは容赦なく聞いてくる。


本気マジか?

考えたか?

どうしたい?

どうして欲しい?


要するに考えないと練習が進まない。

だけど、ボールがないから自分のペースでできるしミスがない。


暑い日差しを受けながら、かれこれ1時間グラウンドに立っている。


ボールもなしで・・・。

手には水筒を持ったまま・・・。


「ミズホ~いまのボールマサオに出せなかったかぁ~?」


「つか、声小さいよ~」


「リョウが上がり始めたから一度僕に落としてから時間を稼いで出せたから良かったと思います」

流石はタイキ!キャプテン!!

瞬時にそんな長い言葉よく出るよな・・・。


「そ~だな~」


「じゃ、リョウからね~」


こんな感じで声をボールに見立てて12人がグラウンドに散らばり、相手はカツコひとり。

これだけ考えてサッカーしたことない。

言われるのはいつも僕だけ?

と不安になったところで、午前の練習が終わった。


ZAALの練習は自由なようでいて、色々決まりごとがある。

アップはみんなで一緒に体操はしていない。

ボールタッチする子もいれば、ストレッチをする子がいる。


カツコの「それじゃぁ行こうかぁ」の言葉で、ラダーを置いてステップが始まる。

その種類10数種類。

そして5種類ほどのパスアンドゴー

毎回、どんなステップを踏むのかカツコが見せてそれを真似をする。

パスゴーも言葉で説明され、それをすぐに実践する。

下手したらこれでバテる。


その後は3対3にフリーマンを入れたミニゲーム。


そして言葉のサッカー。

これはどうも有名な元イタリア代表監督のアイデアらしいが、カツコの処理能力にびっくりする。

とにかく細かいし、よく覚えている。

そして、昼ごはんの前にシャワーを浴びて新しい練習着に着替える。


午後も同じセットに加えて実践練習が入る。


なんでもチーム一体で行うのだ。


準備から片づけまで、とにかくサボる奴がいない。

14人しかいないからサボることができないだけかもしれないけれど・・・。


しかし、練習は自分の体力に合わせて動くことになんの注意もされないし、逆に無理をさせないような気配りをコーチより感じる。


◆◆◆


そんな午前の練習を終えて、注意しまくられて少し凹んでいた僕にみんなが声をかけてきた。


「ミズホは言いやすいからカツコは集中的に注意しているんだよ。

僕はその間に考えている」とタイキ。

「タイキは優等生♪」とヒロキが茶化しながらも「「「俺も必死だよ!」」」とみんなが明るく声をそろえていう。


「マジな話、ミズホってジュニアで全然知らなかったよ。でも、すげー視野の広さとパスの正確さもっているよな・・・」

昨日初めて顔を合わせた守護神のヤマトに言われて少し救われたかな?


「そういえばそうだよな・・・」

「ZAALのメンバーって何かと有名だけど、ミズホって聞いたことないし~」


新加入組みのジローとユウヤが声に出した。


そうなんだ!?


「まあね。落ちこぼれとして有名かな?」とマサオ。


みんな、サッカークラブや少年団に所属していたが、4年生のときに辞めてZAALのフットサルをはじめたのが今の6年生。

基礎を作ったのは高橋代表だけど、監督として参加したのはカツコ・・・。


そして、昨年の全日本少年フットサル大会を5年生だけで全国制覇したことを始めて聞いた。


大体、フットサルは見たこともなかったから知らないし、いきなりの初参加で全国制覇は快挙として有名な話らしい。


そのメンバーに

「ミズホのサッカー好きだぜ」

「とんでもね~アイデアだすしな~」

「えげつないパスとかね」

「でも、技術しっかりしているよね~」

「チビだけど」


最後の言葉は聞かなかったことにしよう・・・。


食堂に着くまでに僕の疲れは飛んでいた。

ご飯はおいしいけれど、どんぶり3杯食べないといけないのがつらいけれどね・・・。


◆◆◆


午後練習も終わり、楽しい楽しい自由時間という名の勉強時間を終えてみんな各々の部屋で撃沈。

7人部屋だったので、普通なら遅くまではしゃぐと思いきや、すぐに深い眠りに着いていた。


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