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勇者の系譜とやらに異世界転生した私ですが、そんな事など関係なくメイド喫茶で働いてます  作者: 秋月静流


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邪悪に微笑むみたいです

 ネムレスが家に来てから二週間が経ちました。

 退屈な村の集会(村長の小言と自慢話がホント最悪です)も無事終わり、

 季節は夏を迎えようとしてます。

 明るく活性化する村。

 私も予定してる出店の準備におおわらわです。

 今年の夏は一週間限定とはいえ、

 ジャレッドおばさん協力の元、ついに屋外にメイド喫茶を出すのです。

 ターゲットはダンジョン探索をしてる冒険者。

 前年度に綿密なリサーチを行い、

 その需要と供給をしっかり把握したので、対策もばっちりです。

 精神を安定させる眼の保養と、身体の活力となる糖分を一挙に取れるメイド喫茶は彼等のニーズに適宜にマッチングしてる筈。

 売り子というか共に働く同僚には、クーノちゃんやコタチちゃんを頼みました。

 美しく成長した彼女達なら人目を惹く事間違いありません。

 勿論、荒くれ者や暴漢対応も準備してます。

 用心棒兼雑用係として、ワキヤ君達が毎日手伝ってくれることになりました。

 可愛いウエイターさんとしてショタなお姉さん達の人気を掻っ攫う気満々です。

 この日の為にあちらこちらで恩を売っておいたのですから。

 決して嫌とは言わせませんよ~にゅふふ。


「どうしたの、ユナちゃん?

 何だか邪悪な波動が滲み出てるけど……」

「いつものことでしょ、ユナが悦に浸るのは。

 その内正気に返るから放っておきなさい。

 しかし……あ~もうっ!

 何でフリルってこんなに難しいの!」


 共にエプロンを縫いながらクーノちゃん達が何か言いますが、気にしません。

 我が野望に日々近付いて行ってるのです。

 心が浮き立つ事を押さえられません。

 ただ懸念事項が一つありました。

 私がお店の準備をしに毎日マイスター商店へ赴く為、

 自然、家の事をする時間が減ります。

 人手不足を心配した私。

 ファル姉様は「気にしないで楽しまれて下さい」とおっしゃってくれましたが、

 やはり気になります。

 けど助っ人は意外なところから現れました。

 ネムレスです。

 すっかり傷は癒え、今は日常生活に支障はないレベルで動ける様になりました。

 そんな彼ですが、進んで家事を手伝い始めたのです。

 リハビリ替わりに丁度いい、と。

 お客様にそんな事をさせる訳には……と、辞退してた姉様ですが、

 その手腕を見て認識を改めました。

 流れる手捌き。

 双腕に担いし箒が、包丁が鮮やかな軌跡を描きます。

 ネムレスの手によって捌かれてゆく家事。

 その腕前は恐ろしい程です。


「な、なんということでしょう……

 このままではわたくしの存在意義が崩壊します!」


 危機感を露わにした姉様も対抗するように張り合います。

 そんな姉様を好敵手と認めたのか、ネムレスも真剣な顔で宣言します。


「中々やるな。

 ならばついてこれるか……?

 俺の、本気のスピードに」

「望むところですわ!」


 猛然と日々切磋琢磨し合う二人。

 私には意味不明です。

 きっと高レベル所得者だけに分かり合う世界があるのでしょう。

 ここだけ何だか違う小説みたいになってますし。

 でもあまりにネムレスの腕前が凄過ぎるので、隠れてこっそりリーディング能力でサーチしました。

 何かしらの妨害手段が取られてるのか、完全には把握できません。

 微かに判別できたのは、


 執事スキル(家事:一般)Exレベル バトラー熟練度∞ 専用効果<万能付与>


 だけでした。

 執事スキルがカンストしてるのもアレですが、専用効果が怖ろしいです。

 万能付与は天才スキルに近いものがあります。

 所持してるとランクが下がるとはいえ、様々な技能の代替が利くのです。

 通常なら2ランクも下がるので役に立ちませんが、

 即ちEXレベルのネムレスなら全てのスキルにおいてBランク相当の腕前を所持してる事になります。

 な、何というチートでしょうか。

 まあ霊長の守護者などをしてるのですから……それも当然なのかもしれません。

 寧ろそんな存在と互角に張り合うファル姉様がおかしいのです。

 私は猛然と家事に取り組む二人を見て肩を竦めます。

 どうやら大丈夫そうですね。

 苦笑し頬を掻いているシャス兄様に監修を頼み込みます。


「あとはお任せします、兄様」

「ああいいよ。

 っていうか、これはどうにもならないでしょう?」

「ですね」


 気軽に笑顔で応じる兄様。

 その姿は今日も素敵で、村ではいつも女の子の羨望を浴びてます。

 誰にでも優しいし、公平。

 本当に自慢の兄様です。

 私は心から安堵し、再び出店準備に取り掛かるのでした。





 しかし、この時の私は知る由もありませんでした。

 この数週間後、シャス兄様を襲う……

 悲劇と、出会いとを。

 





春篇の佳境。

シャスの物語「タガタメシリーズ」の前章ですね。

この後タガタメに繋がります。

洞窟で何があったかは……まあその内に(希望があれば後書きにでも書きます)

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