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赤ちゃんから、らしいです


 眼を開けると見知らぬ天井が見えた。

 私はどうやらベットに寝かされていたようだ。

 檻の様に周囲を囲む柵の間から見渡すと、慎ましくあるも大きな部屋にいる事が理解できる。

 でも、これは酷過ぎません?

 あのイスやテーブルなんて私の数倍はあろうかというくらい。

 まるで巨人の国に迷い込んだようなこの対比率。

 どこか曖昧な意識を総動員し、ふと自分の身体を見る。

 ……小さかった。

 そう、すべてが小さいっていうかミニマムなのです。

 手なんてシワシワのホヨホヨ。

 足なんてフニフニのポヨポヨ。

 体だってプクプクのボヨボヨ。

 まるで、まるで赤ちゃんみたいに!


(なにこれええええええええ!!??)


 私の心の絶叫を聞き止めた訳じゃないだろうが、人の気配がした。

 慌てて私は口を閉ざし様子を窺う。

 覗き込んできたのは二人の男女だった。

 優しそうな面立ちの中に強さを感じさせる黒髪紫瞳の青年。

 美しさを形容する容貌と儚さが同居する蒼髪翠瞳の女性。

 二人は私を愛おしげに見つめると相好を崩す。


「具合はどうだ、ユナティア」

「大分落ち着いた様ね」


 次々と思い思いに声を掛けてくる二人。

 何だろう?

 不思議な感じ。

 日本語とはかけ離れた言語なのに、何故か理解できる。

 騒々しくするのは体調に良くないと思ったのか、私に毛布を掛けると早々と退散していったけど。

 ただ去り際に女性が不思議な事をした。

 おまじないのような事を呟き私へ指を向ける。

 すると白い光が私を包む込んだのだ。

 その瞬間、気だるげだった意識がシャンとするのを実感した。

 これは何? まるで魔法のような……

 驚きに口を馬鹿みたいに開く私。

 結果に満足したのか女性は男性に報告しに行ったけど。



 一人残された私。

 暖炉にくべられた薪が爆ぜる音を聞きながら現状を考察する。

 ユナティア。

 私は、そう二人に呼ばれていた。

 そしてこの自由の利かない不自由な小さい体。

 聞いた事もない言語体系。

 染めたりカラコンでない鮮やかな色彩の髪と瞳。

 ゲームでしかみないような回復魔法っぽいもの。

 これらを元に冷静に鑑みるに、


(異世界……ホントに転生しちゃったんだ……)

 

 ナイアル様、凄い。

 怖そうに見えたけどちゃんと約束は守ってくれた。

 案外いい邪神さん? なのかも。

 終わり際の暴挙は忘れましょう。

 こう見えて私、結構懐は広いのです。ええ。

 でもね、


(正直、赤ちゃんからは辛いです……)


 頭まで届かない手で頭を抱えようとしながら、私はハイハイできない自分の非力さを呪うのだった。

 くそう。





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