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それはまるで小悪魔みたいです

「そろそろ準備は整ったでござるか?」


 更衣室として提供された客室。

 その扉の前から、間延びしたソウジの声が聞こえてきます。

 懸念であった関所での取り調べ。

 しかしそこはサムライ名誉職である<十二聖>ソウジの一声と、使節団である認可証を提示し難無く突破する事が出来ました。

 問題はその後です。

 担当の衛視から連絡がいったのか、このナルンガセキの領主が是非とも謁見したいと要請がありました。

 こういう時、関所と領主の館が併用されているのは面倒ですね。

 まあ有事にはその方が対処しやすいのでしょうけど。

 それにどうやら私達を相手でなく、ソウジに会いたいというのが本当のとこみたいです。

 ルシウスの言った通り、東方ではソウジは凄い知名度みたいですね。

 面倒は避けたい(本音ならすぐにでも探索に出たい)ですけど、地元の権力者にコネクションを取っておいて損はありません。

 それにソウジの話ですと、上手く交渉すれば転送器を使用させてもらえるかもとのこと。

 レムリソン大陸の転移魔方陣はミズガルズオルムのテロ以来未だ復旧の目処がたっていないのが現状です。

 でもここ東方は幸いにもテロに巻き込まれなかったとのこと。

 さらに魔力を使用した従来の転移陣でなく、霊脈と呼ばれる大地のマナを使用する特殊な転送器みたいです。

 もし上手く交渉出来て転送器を使うことが可能ならば、霊峰の麓までに掛かる道程10日間程もの時間を短縮することが出来ます。

 これは気合を入れて籠絡しなくては(え?)。


「あ。もうちょっとだけお待ちくださ~い」


 ソウジに元気よく返事を返すと、私は設置されている姿見の前で最終チェックを行います。

 母様譲りの髪質が自慢の髪は動きの邪魔にならない様、結い上げポニーテール風に。

 インナーの上に直接<紅帝の龍骸>を着込み、その上からは慰労会でも使用したゴシックドレスを纏います。

 アクセサリーを付けるのは正直好みませんが、これだけは大事なので胸元には大使の証であるカミツレの紋章。

 さらにガーダーには退魔虹箒の発動体であるアタッチメント一式。

 足元が視えないのをいいことに、ヒールでなく動きやすいブーツを履きます。


「ん。完璧です」


 姿見の前で思わずVサイン。

 一息着いた私。

 傍らで同様にお洒落に気を配ってるであろうタマモの方を見ます。

 驚愕。

 美麗に流れる金色の髪。

 憂いを帯びた双眸。

 蠱惑に震える唇。

 未完成ながらもそれ故少女期特有の儚さを秘めた容貌と肢体。

 簡略化された単衣もその美貌に拍車を掛けています。

 そこにいたのはどこに出しても絶賛しか出ないであろう美少女でした。


「どーしたの、おねーさま?」


 視線を感じたのか振り向くタマモ。

 飾らないロングヘアーが綺麗に流れ弧を描きます。

 きょとんとした無防備な素のタマモ。

 か、可愛い。


「うう……何だか自信を無くしてきました……」

「な~に言ってるの。

 あたし達の目的はカルを探しに行く事でしょ。

 これはその前段階なんだからしっかりしなくっちゃ」

「そ、そうでした」


 諭すというより呆れた感じのタマモの声。

 危うく目先の事に気を取られ本質を見誤る所でしたね。


「じゃあ……男性陣が待ってるみたいですし、行きますか。

 頑張って領主を骨抜メロメロきにしちゃいましょう♪」

「は~い☆」


 共に意地の悪い笑みを浮かべ、

 二人の小悪魔は手を取り合い部屋を出るのでした。






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