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戦慄となる、はらんをよぶ乱入っぽいです

 会場に戻った私達は悲鳴の原因を知ります。

 それは完全武装に身を包んだ屈強な兵士達による反逆行為。

 ホールを取り囲む様に次々と入室してきては来場者に武器を向けます。

 その途端、再度響く悲鳴。

 特に夜会に参加している貴族達はこういった荒事に対し耐性が無い為か、混乱の極みを見せてます。

 やれ自分の家柄がどうの、

 金を幾ら積めばいいのかだの、

 普段の横柄さはどこにいったのか兵士らに自らの保身を懇願しています。

 もう一方のパーティ参加者である冒険者達も突然の事態に狼狽えてるのが窺えます。

 何故なら夜会に武器は持ち込めないからです。

 百戦錬磨の腕前であろうと然るべき装備が無ければ対処は難しいのでしょう。

 中には即応反射で身近なテーブルから取り分け用のナイフやフォークを手にする者もいますが焼け石に水。

 重装備の兵士相手には何とも心許無い装備です。

 となれば頼みの綱は魔術師マジックユーザー達の操る神秘、魔術。

 ですが夜会に参加する際に装着を義務付けられる魔封じのブレスレットの存在が邪魔をしています。

 その効果はありとあらゆる魔術効果に対する妨害ジャミング

 装着した者は余程の力差が無い限り、通常の魔術効果は発揮できないのです。

 これは国の重鎮が集うパーティなどでは当然の措置で、どんな王侯貴族でも例外ではありません。

 こういった夜会では暗殺や諜報を何よりも警戒しなくてはならないからです。

 無論、先程ルシウスが見せた固有能力や熟練術者の域に達したネムレスクラスならその縛を逃れる事も可能でしょう。

 けど迅速な対応を求められる緊急時に、悠長にプロテクトを掻い潜る時間はありません。

 結果、無効化されてしまってるのが現状の様です。

 そういえばユリウス様はどうしたのでしょう?

 先程歩んだ行かれた先に眼を凝らします。

 いました。

 ルシウスに良く似た青年、カエサルと何やら議論しあっている様です。

 いえ、言葉を濁すのはやめましょう。

 彼こそが虚ろなる幻魔に成り代わられたというルシウスの異母兄なのでしょうから。

 このクーデターは彼主導のものと考えるのが自然です。 

 しかし王室警護隊が付き添い、冒険者集うパーティの中で仕掛けてくるとは……

 直接的な戦闘行為に及ぶ筈がないという思い込みがこの事態を招いてしまいました。

 それはユリウス様も同様なのでしょう。

 冷静にカエサルへ語り掛けている様ですが応答するカエサルは邪な嘲笑を浮かべています。

 今は何とか拮抗を保ってる様ですが、いつ凶行に奔るか知れたものじゃありません。


(いずれにせよ、動かなくては!)


 焦燥に駆られた私がガーターに結わえつけたアタッチメントに向け手を伸ばした時――

 そっと、その手を押さえる者がいました。

 驚きに顔を見上げ確認するとネムレスです。

 目線で問う私に、彼は無表情に顔を振ります。


「どうしてです……?」

「君が動く必要はない。

 無駄な怪我はさせたくないし、したくないだろう?」

「どういう……」


 意味です?

 と続けるより早く、


「ぬわはははははははははははははははははははははははは!!」


 会場に響く馬鹿げたぐらい大きい高笑い。

 当惑した人々(私もです)はその主を探します。


「なんだ……?」

「いったい何者だ!?」

「あそこだ!」


 指で指し示した先にいるのはホールの梁に佇むアメコミ風タイツ装備の大男。

 口元の見える覆面を被り、マフラーを棚引かせ人々の注目を浴びながら笑い続けてます。

 完全にアレ(変……ゴホンゴホン)な感じです。

 やがて充分だと感じたのか、雄々しいポーズを決め再度口を開きます。


「天知る地知る人知る我ぞ知る!

 この世の悪を知っている!!」

「何だ貴様は!?」

「王権の簒奪を謀る悪党どもよ。

 貴様らに名乗る名などはない!

 天に代わり、この儂が成敗してくれん!」


 とう、と荒ぶる大鷲の様に勇壮に跳躍する覆面男。

 空中で二回三回と華麗に回転していき――


「ぬお!?」


 何故か狙い澄ましたかのように設置してあったバナナの皮の上に着地。

 

 ゴキッ!!


 と凄まじい音を立てて頭から地面に突っ込みます。

 思わず静まり返る一同。

 あまりの事態と云えばあまりの事態。

 取り囲もうとした兵士達すら呆然と動向を窺ってます。

 やがて覆面男は何事もなく立ち上がると、埃を手で払います。


「着地に失敗するは……儂も歳かのう。

 確かこういう時はこうするのじゃったな。

 てへペロ★」


 ニカっ、と指を顔に揃え暑苦しく微笑みます。

 ポーズさえ気にしなければ漢臭いも不思議と人々を明るくする魅力的な笑み。

 けど首があらぬ方を向いてるのが何ともいえずシュールです。


(っていうかアレ、致命傷じゃないんでしょうか……?)


 先程の推測とは別の意味で戦々恐々する人々。

 当の本人は曲がった首をゴキゴキ、っと戻してますけど。

 私は何故か遠い先祖の記憶がデジャヴュしました。

 突如乱入してきた、この覆面大男の正体とはいったい!?(バレバレです)






 覆面装備の大男……

 いったい何者なんだ……

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