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対峙<ヴァーサス>1

「命中。流石だな」


 ユナを襲う6魔将カチュアの猛攻。

 その必殺の一撃を防いだのはシャスティアの狙撃だった。

 ユナを救うべく観測手を務めたネムレスは、望遠術式を解除しながらシャスティアを振り返る。

 妖魔の返り血で染まった薄暗い路地。

 残心の構えを崩さず上空を見定めるシャスティアはまるで一個の絵画のようだった。


「師匠のナビゲートがありましたから」

「そうは言ってもこの距離を的確に当てにいくのは容易でない。

 弛まぬ鍛錬の成果だろう。

 上級職への道が視えて来たのではないか?」

「そんな……まだまだ修行が足りません」

「謙遜せずとも、君ならなれると思うのだが」


 ネムレスの称賛に素気無く応じるシャスティア。

 自らがサポートに入ったとはいえ、400メートル近い距離を当てるのは弓手に取って至難の業だ。

 ましてそれが反動の強い絶技となれば尚更。

 誇ってもいい事なのだが、年齢相応の興奮はそこにはない。

 環境に恵まれたお蔭か、どうもシャスティアは自分の力を過小評価する嫌いがある。


「ユナは……妹は大丈夫でしょうか?」

「君の兄でもあるミスティは精霊の寵愛を受けた聖霊使ミリオンテラーい。

 幸運付与や属性防御等、近接で戦う者にはその加護が宿る。

 それにユナは戦う意味を知る者。

 心配せずとも大丈夫だ」

「ええ。となれば」

「ああ。私達は私達の客を迎えるとしよう」


 二人の視線の先。

 何の変哲もない路地。

 しかしいつの間に現れたのか?

 そこには道化師服姿の女性がいた。

 半面を仮面で覆われてるその姿はマリーシャ・ノルンに間違いない。

 ただ人間性なかみは別の名で呼ばれる。

 地獄の道化師……パンドゥール、と。


「シャスちゃん~もういいかしら?

 ユナちゃんや妖魔達だけじゃなく、そろそろわたしと遊びましょう?

 昔みたいに家族水入らずに。

 身も心も溶け合うほどに。

 もう我慢出来ないから。

 ウフフ……あはははははははははははははははは!」


 哄笑を上げるパンドゥール。

 その笑みの内に秘められた狂気。

 更には自分達の固有領域に音もなく忍び寄る闇魔術の冴え。

 それはネムレス達にとって最大の警戒を以って応対する予兆となった。

 こうしてまた一つの戦場で魔将との戦いが繰り広げられようとしていた。

 


 





 手書きで少しずつ書き写しします。

 更新を楽しみにしてる方、申し訳ないです。

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