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判明となる、しられざりし特性っぽいです

 歪空妖精スクエアフェアリー

 それは名前通り空間を歪め自在に転移ワープを行う事が出来る妖精族です。

 銀狐の能力を検証してる際、私は彼からその話を聞いてました。


「貴方のその力(時空魔術)があれば無敵じゃないですか、銀狐」

「買い被り過ぎです。

 自分の能力にそんな利便性はありませんよ」

「銀狐、私は貴方を買ってます。

 ならば配下として、その信頼には応じなさい」

「おやおや。これは手厳しい。

 流石は我等が盟主様といったところでしょうか。

 ただ、これだけは知っておいてほしいのです」

「?」

「自分の力はある存在の模倣によって成り立ってます」

「模倣……ですか?」

「はい。歪空妖精……不老不死を夢見た時の権力者の誤った認識により乱獲され、今は僅かばかりの生息が確認される希少種族の能力。

 即ち<空駆け>の力。

 自分の異名もここからきてます」

「それはどのようなものなのですか?」

「盟主様には自分の魔術の特性は説明しましたよね?」

「ええ。現在・過去・未来。

 時空体を越え、その流れを減退・加速する事が可能」

「仰る通りです。

 その力を使う事により<疑似空間転移(過去に行った事がある場所のみ)>や<疑似物体乖離>などを扱うのですが……

 これらは歪空妖精の持つ力を参照する事によって生み出されたものです」

「というと?」

「彼等は妖精族固有の闘気術を使う事が出来ない代わり、限定的とはいえ空間に干渉出来る能力を持ちます」

「つまり……」

「時間を扱う自分。

 空間を扱う彼等。

 酷似してますが微細に違うこれら。

 しかし本質的には同系に分類されます。

 自分の扱う能力と同等の事は彼等も可能。

 いえ、下手をすればそれ以上の事が可能かと」

「それは恐ろしいですね」

「ですから対応策を検討したいと思います。

 彼等や……自分と同等の力を持つ者が敵に回った事を想定して」

「名案です、銀狐」


 王都有数の情報屋で<馳空>の異名を持つS級クラスの技能所持者、銀狐。

 その洞察と懸念はもっともです。

 アラクネのメンバー(特にスカイ)の協力もあり、レアスキル時空魔術の秘密は完全にではありませんが解き明かされたのでした。

 その中にあるのが「空間転移」「半減加速」を所持する者との戦闘法です。

 転移は分かると思いますが、聞き慣れぬ半減加速とは何か?

 これは転移をする際に意図的にその力を分散させることにより擬似的な加速を行う事です。

 音速を超える速さは最早亜光速に届こうかというほど。

 視認し捉えるのはほぼ不可能です。

 ただそれ故に反動も凄まじく、加速に使う力の3倍以上の力を制御に回さなくてはならない。

 よって実戦的ではないと結論付けされたのですが……

 どうやら6魔将であるカチュアはそれを実践出来るレベルまで引き上げてるようです。

 幸いなのは彼女に卓越した武芸の腕が無い事。

 あの大鋏による致命攻撃さえ気をつければ何とか応対できる筈です。


「歪空妖精である貴女は空間を歪める事により転移と加速を可能とする。

 そして一番怖いのはそれらを組み合わせる事を可能とする事。

 転移後に視認出来ぬ速さで急所攻撃されれば、何が起きたかも分からず絶命してしまう」

「フフ……正解デス。

 よく知ってましたネ」

「優秀なスタッフに支えられてますから」

「でも……だからといって打開策は無いデスよ?」


 再び戦闘態勢に入るカチュア。

 確かに転移や加速を止めれる術はありません。


「逝く、デス」


 宣言と共にかき消える姿。

 瞬間、総毛立つ感触。

 私は急即で前転し、空に手を付くと距離を取ります。

 振り返ればカチュアが私の首筋辺りで空振りした鋏を構えてました。

 人体急所を的確に狙った致命的な斬撃。

 技量は無いもその特性の恐ろしさを再認識します。


「また躱された……

 いったいどんな手品なのデス?」

「企業秘密です」


 不可解な顔をしたカチュアの疑問に、

 私は背中を流れる冷汗を隠し笑顔で応じるのでした。





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