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垂涎となる、ごくじょうな素材っぽいです

「まあ騒々しい再会になった訳やけど……

 久しぶりやね、ユナちゃん。

 元気そうで何より」

「そういう貴方スカイも変わらないですね……ホント」


 椅子の上で世界戦を戦い抜いたボクサーの様に白くなってる銀狐(今は白狐?)を見ながら、私はそっと溜息を尽きます。

 茶目っ気があるというか、どこか浮世離れした彼とのやり取りはいつもドタバタさせられます。

 少しだけ彼を責める様に上目遣いな私。

 そんな私に、スカイは慌てた様に弁解します。


「せ、せやかてこいつも悪いんやで?

 何でもかんでも苦虫を潰した様な顔して真面目に対応しくさって。

 情報の大切さは充分理解しとる。

 でもそこに一個人が関与する以上、常にクレバーに接せんと。

 こいつは口では何だかんだ言うても情を捨てきれん。

 つまり優しいんや。

 どっかの誰かさんみたいにな」


 ズレた眼鏡の位置を直しながら、肩を竦め応じるスカイ。

 韜晦する彼に、私も同様に返します。


「はてさて?

 いったい誰の事でしょう?」

「自覚が無いのか、はたまたとぼけてるんか。

 まっ、ワイにはどっちでもええことやけど。

 窮地に拾ってもらった恩は忘れられんしな。

 んで、ユナちゃんがこんなとこに来たんは、こいつの情報を聞きたいちゅーのもあるけど……多分、それをどうにかしたいんやろ?」

「やはり分かりますか?」

「それだけ派手なエレメントを秘めてればな。

 それから受けるのは原初の火の要素。

 となれば……古代竜が絡む、か?」

「流石ですね」

「まあ魔術師ではないんやけど……

 こう見えて、一応は本職なんで」


 感嘆する私に対しスカイは苦笑で応えるのでした。

 研究職とはいえ、彼の魔導関係に関するセンスと洞察力はアラクネでもぴか一。

 よって私が執務室から持参した物の正体も一目瞭然だった様です。

 私は大事に布で包んでた物を取り出し曝け出します。

 激闘を共に潜り、幾分か汚れてしまってはいるも……

 磨かれた大理石の様に、傷一つないその表面。

 紅に染まった革製の防具のとは勿論。


「100年程前に辺境を騒がせた赤き竜王。

 その遺骸から作られた革鎧です」

「ほお……こいつはまた……」


 魅入られた様に革鎧を凝視するスカイ。

 断りを入れるや、触ったり簡単な魔力計で何かを計測したりと大忙しです。

 垂涎せんばかりなその態度。

 危機感を覚えた私は無駄とは思いますが忠告します。


「一応これは借り物なので。

 あまり御無体な事をしてはいけませんよ?」

「でもこれほどの逸材を前に何もしないのは色々な意味で罪やで?

 せっかくの素材が泣いている」

「そう思いますか?」

「ああ」

「であれば、取り返しがつかなくならない程度で強化をお願いします。

 素材としての親和性と強化度数は桁外れなので」

「ええんか?」

「はい」

「こんなものを前にしたら……

 研究者冥利につきるで、ホンマ」


 薬物中毒者みたいにプルプル震える彼。

 本当に大丈夫でしょうか?


「き、期待してますよ?」

「任せておき!

 さいっっっっこうの逸品をユナちゃんに出してみせるわ」


 何やら瞳に妖しい輝きを宿しつつ、

 スカイは最高の笑顔で私に微笑み返すのでした。




 少し短いですが更新です。

 お蔭様で70万PV。早いものです。

 これからもよろしくお願いします(ペコリ)。

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