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瞬時となる、またたきなる転身っぽいです

 しなやかなに伸びた肢体。

 艶やかに咲き誇る、鴉羽のごときぬばたまの髪。

 更に聖女と讃えられた母様似の、輝かんばかりの美貌。

 今の私は蕾の様な少女から花咲く乙女と変貌してました。

 まるで魔法少女みたいな劇的な変身。

 タネを明かせば銀狐の力のお蔭です。

 銀狐の持つこの錠剤は彼の特性をウチの研究機関が凝縮させた代物で、

 青い錠剤を飲むと1つにつき5歳分年齢を加速、

 赤い錠剤を飲むと1つにつき5歳分年齢を退行させるのです。

 まあ実際に肉体年齢を加減速してるのではなく、

 錠剤を飲んだものを特異点とし、周囲の時空を誤認識させてるらしいですけど。

 現在の肉体情報を基に算定される未来・過去の状態は驚くほど正確です。

 だから今の私の姿はいずれ訪れであろう未来の姿。

 私が大好きな、そして何より何よりも望んだ母様似の姿。

 皆が羨望・憧憬し、褒め称えてくれる。

 ただそれだけの事が嬉しく、そして誇らしく感じてしまいます。

 それにこの姿も色々使い出が良いのです。

 王都……というか、アラクネの長として動く時には、

 正体を隠したり侮られない為にも何かとの便利なのでこの未来の姿になります。

 あと内面はあくまで私ですが(スキルや能力値の変動はなし)、

 外見年齢に応じた視点やリーチさを得られるので戦闘面も有利ですしね。

 でもおっとりとした陽だまりの様な母様と違い、今の私は見る人によってはゾクゾクとくるくらい冷徹さが増してるっぽいです。

 そんな気はないのですが、声色や言動も威圧的で威厳すら感じるとか。

 だからアラクネ内部で無慈悲な女王とか言われるのでしょうね。

 まあ……中には素の私(7歳の姿)がいい、堪らない!

 っていう方もいますけど……

 ちょっとアレですかね? はあ(嘆息)。


「ふう……

 どうですか、銀狐。

 おかしいところはありませんか?」

「冷酷で無慈悲なる仮面のごとき静謐さに秘められた、熱き情動。

 大変素晴らしい。

 流石は盟主様、と。

 お褒めの言葉が尽きません」

「世辞は結構です」

「さらには万物を魅了する美貌に説き伏せるような威厳」

「言い過ぎですよ」

「贅肉のない研ぎ澄まされた刃のごとき扇情的な肢体も見事。

 しかし唯一つ残念な……惜しむべきは……」

「?」

「お胸が少々……」

「ぶち殺しますよ?」

「ささいな冗談です」


 くっ……この男……

 人が気にしてる事をよくもズケズケと……(わなわな)。

 今すぐ首を絞めてガクガクさせたくなる衝動を何とか宥め、菩薩の微笑に殺意を込めて銀狐を見やります。

 決して目は笑ってませんけどね!

 ええ、彼の指摘するように、確かに理想的な未来な姿を今の私は持ち得てます。

 だけど唯一……そう、何よりも求め訴えたのに……

 残酷なる神は聞き入れてくれなかったのです。

 今の私は、

 7歳の丈に合わて整えられた筈のドレスは、

 あちらこちらがビリビリだというのに……

 他は、はしたないくらい露出して苦しいのに……

 何故か胸は、

 胸元だけはストンとピッタリ……

 なんですよ、こんちくしょう!(怒)


「おやおや。盟主様は冗談がお嫌いなようで」

「貴方のは冗談に聞こえないんです。

 まあ今回は手早く駆け付けた功績に免じ、咎めません。

 しかし次は無いと思いなさい。

 分かりましたか?」

「はあ……」

「わ・か・り・ま・し・た・か!?」

「はい、了承です」

「ならば結構。

 さて。話もひと段落付いた事ですし、後は一刻も早い事態の把握が先決ですね。

 他の人達が何処に転移させられたか詳細も調べなくてはなりませんし。

 銀狐、私達を王都まで移動させなさい。

 場所はアラクネの本拠地ホームで構いません。」

「御意。恐ろしい、盟主様」

 

 肩を竦めた慇懃無礼に大袈裟に一礼。

 そして空間に奔る鈍い金属を断ち切る様な金切り音。

 眼を瞬く間もなく、意識の無いアネットさんを含む私達は再度王都へと転移し戻るのでした。





 更新です。

 早いものでこのシリーズももう1年になるんですね。

 飽きっぽい私がこうして書き続けられるのも応援して下さる皆様のお蔭です。

 頑張って連載していきますので、これからも応援を宜しくお願い致します。



 ユナティアを含むノルン家のお話にもう少しお付き合い下さいな^^

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