後悔となる、あけすけなる質問っぽいです
終わる事の無い悶絶の果て。
可愛いお尻を浮かせ湯船を漂うルシウス。
そんなルシウスを同情の眼で見ながらツンツンしてるタマモを尻目に、
私は御付きのメイドさんからトロピカルジュースを貰いすっかり満喫気分のルナさんに尋ねます。
「そういえばルナさん」
「な~に~?」
「先程は訊きそびれましたけど……
父様達はどういった関係だったんですか?」
「ん~……同じパーティだったのは知ったよね?
ガンズが言ってたし」
「ええ」
「それに少し昔話になるし自分語りも入るけど……いいの?」
「お願いします」
「ならばいっか~。
んとさ、昔のあたしは凄く傲慢なやつでね。
あたしを正当に評価しない世界は間違ってるとか考えるイタイ娘だったの。
そんで無駄に行動力だけはあってねー(苦笑)
今考えてみても無謀の極みだけど……
親が苦心して入れてくれた魔術協会を見限って世間に実力を知らしめる為、出奔したのよ。
でも案の定、協会を飛び出たあたしは食うのにも困った。
なんせその時は14だったしね。
そこそこの魔術は使えるけど、実戦経験のない術師じゃ冒険の役に立たないし。
そんなプライドばかりな小娘を拾ってくれたのがカル達な訳」
「父様達が……」
「そう、当時はカルとマリー、ガンズの3人パーティ。
構成的にはアンバランスさがあったけど……
ゴリ押しでいけるほどの実力が皆にはあった。
だけどどうしても魔術抜きでは為せない事もある。
空腹に耐えかねて倒れたあたし。
発見し介抱してくれたマリー。
折り良く魔術師を募集してた皆。
そんな縁もあってパーティに入れてもらったんだ」
「母様が……」
「うん。マリーには今でもホント感謝してるよ。
あの子がいなかったら多分っていうか確実に死んでたし。
それからはよくある冒険者の成功譚でね。
あたし達は瞬く間に名を上げた。
そう、王国からも声が掛かる程に」
「……」
「丁度勇者選定の儀が終了してね。
雷帝の介添え人を募集してたの。
それで急に名を上げてたあたし達のパーティに白羽の矢が立った。
あたし個人が雷帝と知り合いだったこともあるし」
「知り合い?」
「うん。協会では同じゼミだったから。
次世代を担う者を育成する特任ゼミ。
まあ彼は途中から特別に編入してきたんだけど。
彼は不思議な人でね。
魔導学院の黒衣の魔人同様、どこか超然とした雰囲気が人を寄せ付けなかった。
だけどあたしとは不思議に気があってさ。
冗談交じりによく言い合ってたのよ。
どっちかが有名になったら迎えにいくから、って。
そんでまあ律儀に守ってくれた訳なの」
「じゃあルナさんも先代勇者の」
「ううん。あたしは辞退した」
「えっ?」
「いや~あたしも誘われたんだけどね。
正直付いていけなかったのねー。
ほら、皆優秀でしょ?
凡人のあたしとしては努力を重ねても追いつけない壁があってね」
「ルナさん……」
「ちょっと残酷だけど思い知らされたわー。
歴然とした才能の差、ってやつを」
「それは……」
「その後はイズナの薦めもあって王宮に仕えて、今に到るの。
まっ、あたしは先代勇者であるイズナと皆が出会うまでの繋ぎって感じかな?
結構長い間組んでたし」
「すいません……何だか言い辛い事を……」
「な~に言ってるの。
しんみりしないで、ユナちゃん。
無理して付いていってもきっとどっかで死んでたし、これで良かったのよ。
今のユリウス様の下で働けるのも正直やり甲斐があるし。
さっ、そろそろ上がりましょう。
湯あたりしてのぼせちゃうのもあるけど……
臣下としては主様が来る前に身支度を整えないとね~」
そう言って明るく笑い浴槽から出るルナさん。
透明な雫が官能的にその身体を這うも、
きっと冒険者時代の勲章なのでしょう。
よく目を凝らせば魔術を駆使しても隠し切れない傷跡が幾つか見えました。
聞いてはいけない他人の過去。
話すのに痛みを伴う心の爪痕。
無神経な自分の態度に声を喪います。
彼我の才能の差に挫折したルナさんと違い、溢れんばかりの才能に恵まれた私。
どこか寂しそうな背中を見詰めながら、
私は掛ける言葉もなく立ち尽くすのでした。
ユナ、後悔するの巻。
お蔭様で50万PVです。
これからも宜しくお願い致します^^




