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狼狽となる、まとをえてる指摘っぽいです

「……さま」

「ほえ?」

「おねーさま!」


 本物のメイドさん達に給仕されながら絶品スイーツを食べる。

 そんな桃源郷のような夢の時間を堪能し終えた私。

 暴れるお腹をソファーに腰掛けて宥めてると、タマモが話し掛け来ます。

 心なしか、その視線は咎めるというか諌める様な意が込められてます。


「……どうしたんです?」

「少し油断し過ぎじゃない?

 一応ここ、敵地にカテゴリーされるんでしょ?」

「そういうタマモだってご満悦じゃないですか」


 呆れながら指摘する私。

 同じくスイーツを堪能したのか、その唇にはクリームが付いてます。

 ちょっと可愛いです。

 慌てて口元を拭うタマモ。

 普段は隠してる尻尾がハタハタと揺れ動き、その狼狽っぷりを示してます。


「こ、これはしょうがないでしょ!

 あんな濃厚な甘味食べた事ないし」

「ああ、別に叱ってる訳じゃないです。

 ただそんなに気を張らなくても大丈夫ですよ」

「?」

「常在戦場。

 私もノルン家の人間として油断をしないというのは大事だと思います。

 でもそんなに緊張しっぱなしでは身も心も疲れちゃいますから。

 楽しむ時は楽しみ、

 休む時は休む。

 それが人として大切なんですよ」

「……その心は?」

「メイドさん堪らないです~ハアハア

「だよね~^^

 ……まったくおねーさまってば」


 おどけた私の返事に苦笑するタマモ。

 この娘もやっと本心から打ち解けてきた感じがします。

 まあ長い間娯楽も知らず地下墳墓で墓守をしてきたのですから、

 世情というか常識に疎くなるのも仕方ないでしょう。

 私達と共に外界に出る事を決断してくれたのは凄く嬉しいです。

 けど私個人としては、もっと純粋に世界というものを楽しんでくれれば一番だと思います。

 美味しいもの。

 綺麗なもの。

 感動するもの。

 世界は広く、私達を退屈させません。

 いつか迎える再会の時まで、心を摩耗せずいるにはそれは何より重要なことでしょう。

 だから私は道化を演じながらもタマモに構います。

 少しでも世界を楽しんでもらう為に。


 ……まあ半分は趣味ですけどね(あ)。

 そうして二人で談笑する私達。

 すると少しは疲労が回復したのか表情が明るくなった、

 でも変わらず眠そうな目をしたルナさんが来ます。


「えーっと……

 ユナちゃんにタマモちゃんでいいのかな?」

「あっ、はい。

 ユナティア・ノルンです」

「おねーさまの式神、タマモです」


 礼儀正しく一礼をする私達。

 父様の知己らしいですから失礼が無いようにしませんと。

 揃って礼をする私達にヒラヒラと手を振りながら、


「そんなに堅苦しくしなくてもいいよ~

 カルとマリーの娘さんとその御付きの子でしょ。

 あたしには身内みたいなもんだよー」

「そうですか? でも」

「まあまあ。

 えーっと、自己紹介がまだだったねー。

 あたしはルナティック・ノースエンド。

 いちおー王宮魔術師団<シルバーバレット>の次席をしてるよ~」


 あっけらかんと言い放つルナさん。

 気負いもなく簡単にいいますが、これは凄い事です。

 王宮魔術師団<シルバーバレット>は、王国の支配下にある魔術協会から選りすぐられた人材が集う、精鋭中の精鋭です。

 その力は学院(サーフォレム魔導学院)を別にすれば間違いなくトップクラス。

 つまりルナさんは大陸でも有数の魔術師ということになります。

 驚き声が出ない私達に、ルナさんは苦笑しながら、


「そんなに驚かないでよ~

 あたしなんてガンズ達に比べればパーティのお荷物だったんだしねー。

 まあカルとマリーにはお世話になったから、特に礼を言わなきゃ~だけど」

「そうなんですか?」

「うん。最終決戦とかイズナ様に待機命じられたし。

 まあ確かにあたしの力じゃ、悔しいけど付いていけなかったな~」


 冒険者ならAAAトリプルクラスに値するであろうルナさんが付いていけない戦いのレベル。

 S級クラスってどんだけ……(汗)


「まっ、そんな過去の事はともかく、と。

 お風呂の準備が出来たみたいなんだけど一緒にどうかな~って。

 少し汗かいちゃったし」

「よろしいんですか?」

「うん。ここのお風呂は凄いよ~」

「是非ご一緒させて下さい♪」

「あはは。じゃあ行こう~」

「は~い」 


 ルナさんに手を引かれ浴室へ向かう私とタマモ。

 しかしこの時の私は知りませんでした。

 この後に待ち受ける、惨劇と悲劇とを(大袈裟です)。



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