お手伝いらしいです
至福の一時の後は後片付けです。
書類をまとめに書斎へ戻る父様、
お風呂を沸かしに行く兄様達を見送り、
私は洗い物をする母様の隣りに並びます。
よっと。
椅子を持ってきてその上に乗ります。
これで準備は万全です。
「お手伝いありがとう、ユナちゃん。
洗い終わったお皿を拭いてくれる?」
「はい、母様」
ポルカの実という、洗剤のように泡立ち汚れを落とす果実で洗いながら母様が皿を渡してきます。
私は落とさない様に気をつけながら受け取ると、水で沫をしっかり落とし、布巾で拭きます。
きゅっきゅっ。
ピカピカに磨き上げられていくお皿が気持ちいいです。
しばらく無言で作業に取り組んでると、母様がふと思いついた様に声を掛けてきます。
「ねえ、ユナちゃん」
「何ですか、母様」
「今日、もしかして……
ううん、もしかしなくても……村で何かあったでしょ?」
「それは……」
兄様達が守り通した母様の名誉。
私から簡単には話せません。
どうしましょう。
思案顔で困る私でしたが、母様は穏やかに微笑みながら宥めてくれます。
「うん、いいのよ。
おそらくわたしの事でしょ?
まだまだ村の人すべてに受け入れてもらった訳じゃないしね」
「そんな事はないです!
ゴランおじさんやジャレッドおばさんも母様に感謝してるって!
他にもいっぱい……」
「そうね、優しい人達に囲まれてわたしは幸せだわ。
でも……中には色々な人もいるの。
だからね、ユナちゃん。
心無い事を言われてもどうか赦してあげれる心を持って?
慈愛という意味じゃないけど、その人達も自分の居場所を守りたいだけなのよ」
「母様は……それでいいんですか?」
「わたし? わたしは大丈夫♪
なんせ可愛い天使達と逞しい騎士さんに守られてるし」
おどけた様に母様は笑います。
容貌もさることながら、母様のこういうところに叶わないな~と私は思います。
皿を戸棚にしまいながら二人で談笑してると、兄様達が戻ってきました。
鍛錬の為、湯船に水を入れるのがシャス兄様。
その水を火の精霊でお湯にするのがミスティ兄様の役割になります。
湯船を桶で一杯にするのはかなりの労力ですし、
気性の荒い火の精霊を適温に保つのは凄まじい集中力が必要です。
でもここ最近コツを掴んだのか、二人とも戻ってくるのが早くなりました。
「母さん、風呂沸いたよ」
「兄さんの精霊力制御が格段に向上してるから適温だと思います」
「ありがとう、二人とも。
先に入る?」
「いや、俺達は後でいい」
「ええ、先にどうぞ」
「そう? ならユナちゃん。
お兄ちゃん達のお言葉に甘えて先に入ろうか?」
「は~い」
母様とお風呂♪
同性でも見蕩れる程に母様のお肌は綺麗なんで、楽しみです。
私は自室に駆け込むと急ぎ着替えとタオルを用意するのでした。
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