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精一杯の想いを込めて挨拶するようです

 ファル姉様の話を鑑みるに、存在強度指数、俗にいう<位階>が強固な存在に対し通常攻撃は効き辛いそうです。

 軍隊を率いても魔王クラスの敵に通用しないのはこれが理由だったんですね。

 分かりやすく言えばどれだけ世界と云う物語に自らを顕示出来るかがイデアなのでしょう。

 雑魚モブキャラでは名のある役には太刀打ち出来ない。

 だからこそ英雄叙述詩の勇者や騎士達は伝説の武器などを装備し、仇敵に立ち向かうのでしょう。

 それらの武器に秘められた名声値が位階差を埋めてくれるから。

 この琺輪世界では神担武具と呼ばれる神々の魂を宿した武具がそれに値します。

 神々と云うネームバリューに加えて、その神性が担い手を補助してくれる。

 そうでないかぎり高位魔族や邪神の眷属に対し人は抗えないのが定めです。 

 しかしそれが同一か近似の位階ならば……話は別です。

 時として表舞台に出てくる聖人や英雄は生まれつき高い霊格(高イデア指数)を宿します。

 これがどういうことかというと、彼等ならば人ならざる者に対抗できるのです。

 彼等の振るう武具は容易に魔族を傷付け、

 彼等の唱えし魔術は揚々と邪神を滅ぼす。

 世界が定めた絶対主役補整。

 それこそが霊格でありイデアなのでしょう。

 トレエンシア様の導きで、世界樹の欠片たる黄金の果実の力を宿した私だから分かります。

 今ならば白面の者と呼ばれた墓所の主の側近、

 金毛九尾の狐に対抗できる……と。

 傲慢な自信ではありません。

 確固たる事実として私は自覚します。

 しかし不思議です。

 私自身のレベルは大きく変化してないのに、圧倒的に強くなった気がします。

 もしかしてこれは噂に聞く……


「そうじゃ、ユナよ。

 黄金の果実の力とは覚醒を促すものであり変容を促すもの。

 即ちクラスチェンジを行う事が可能となる。

 世界樹が認めたものは霊格が上昇し、変わっていく。

 世界はそうして規模を拡大していったのじゃ」


 思案する私にトレエンシア様が諭す様に話してくれます。

 クラスチェンジとは本来、国家や各種機関に認められた者だけが行う事が可能な儀式です。

 身近な例だと私の先祖、光明の勇者などが挙げられます。

 彼はノルン家の血筋に産まれたとはいえ、最初は凡庸な剣士であり只の洸魔術師でした。

 けど弛まない努力を重ね、

 人々の信頼と名声を得て、

 更に死霊王や古代竜をも討伐するに至り、

 ついには勇者にクラスチェンジしたのです。

 そういえば勇者について説明してませんでしたね。

 この世界の勇者には3つの意味があります。

 一つは勇気あるものを讃える意味。

 これは地球で使われる意味合いと一緒ですね。

 もう一つは職業としての勇者。

 これは後天的に<勇者>というジョブについた人の事を指します。

 上記の例でいうならば光明の勇者などですね。

 最後は資質勇者。

 琺輪世界が遣わした<生まれついての勇者>を指します。

 世界の窮地を救うべく遣わされた彼等は時に英雄や救世主とも呼ばれます。

 先代勇者である<雷帝>イズナ様や、大戦終結時に突如現れ皆を導いた<暁闇>の賢者ミーヌ様などがそれに該当するのでしょう。

 今回の私のケースは丁度2つ目の例になります。

 世界樹の恩恵を受けた私は人として一段階上の位階に上昇したのでした。

 この事による影響は絶大です。

 何故なら今の私は、

 通常武器では傷付きにくく、

 更に傷を負っても回復しやすく、

 そして高位位階所持者に対抗できる。

 これは何より大きなアドバンテージになります。

 ……まあ何だか人を逸脱した気がしますが、

 私は人をやめるぞおおおおおおお(ウリイイイイイイイイイ)!!

 までは逝ってないので……良しとします(うん)。


「ありがとうございます、トレエンシア様。

 これで私、戦えます」

「うむ。世界樹に認められる心を持つ、ユナだからこその結果じゃ。

 何も感謝する謂われはない」

「でも……」

「そうじゃな……どうしてもというなら、

 今度またお邪魔しに行った時にスイーツを馳走してもらおうかのう」

「もう……そんなお礼でよろしいのですか?

 勿論です!

 姉様と二人、腕を振るいますよ!!」

「それは楽しみじゃな(フフフ)。

 さて、用事が済めばこの精霊界に長居は無用。

 すぐさま元の世界に戻すとしよう。

 準備は良いか、ユナ?」

「はい。お願いします!」

「それではユナ、また逢おうぞ……

 今度は家族皆が揃って、のう」


 微笑みながら呪を刻むトレエンシア様。

 軽い酩酊感と浮遊感。

 そして……


「おかえり、ユナ」


 私を出迎えてくれる沢山の人達。

 心配そうな顔だったのが、私の腕を見て喜色に染まります。

 皆にはホントにご心配を掛けちゃいました。

 だから私は精一杯の元気を込めて笑顔で告げるのでした。


「ただいま!」




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