振り返りたいほど激しい後悔のようです
厳粛な雰囲気の中で紡がれる、神父様の祈りの言葉。
別れを告げるその哀しい内容に、慟哭しながら幾人も唱和します。
あのテロから一ヶ月。
やっと復興の目途が付き、余裕の出て来た矢先。
惨劇を忘れない為、合同慰霊祭が行われる事になりました。
村外れの墓地に喪服を着た人々が集います。
その手に故人の好きだった物と献花を持って。
私も例外ではありません。
今日ばかりはメイド服ではなくあつらえた喪服で家族と参加します。
真剣な顔のシャス兄様。
目を伏せ悲しむファル姉様。
厳しい顔の父様。
多少憔悴してるのは仕方ありません。
外商では父様の交渉が何より必要とされてましたし、
臨時の救護所では私を含め兄様や姉様の様な癒し手は幾らでも必要とされたからです。
更には燃えてしまった家に代わる、仮設住宅の建設。
働く人々の炊き出しなど。
無事であったアズマイラのメンバー達と共に、本当に激動の一ヶ月を潜りぬけてきました。
だから今日この場に集った人に抱くのは、災厄という戦場を共に戦ってきた仲間……戦友といった想いさえあります。
感慨深い想い。
矛盾する後悔。
胸中を占める衝動を抑えながら、私も祈りを捧げます。
この斎場に棺に納められた遺体はありません。
負の怨念を持った事によるアンデット化を防ぐ為、既に火葬済みです。
遺骨も厳重に聖別し、埋められました。
ここにあるのは只の墓標です。
けどだからこそ、その事実が私に慙愧を抱かせます。
あの時こうしてれば、とか。
もう少しやりようがあったのでは、とか。
無数のⅰfもしも。
アラクネを通して得る被害情報の数々を把握してるだけに、強くそう感じます。
もっと早く動いていれば……
いえ、これは感傷ですね。
治りきらない傷口が疼く様なもどかしさ。
まだまだ修行が足りません。
大きく天を仰ぎ息を洩らすと、私は次の人に場所を譲ります。
参加者全員の黙祷を見届け、神父様が一際大きな声で祷りの言葉を続けます。
やがて最高潮に達した瞬間、
教会の鐘が鳴り響き、皆が一斉に手向けの花を宙に投げ飛ばします。
神父様の法術によりそれは無数の花弁となり綺麗に舞い始めます。
こうして魂はあの世に還って逝くのだそうです。
初めて見たその光景が心に焼きつきます。
私はこの光景をいつまでも忘れないでしょう。
風に乗り流れていく花々。
逝ってしまった方々に、せめて安息なる安らぎを。
たなびく髪を押さえながら、私はそう心で呟くのでした。
血と汗に塗れた哀しい夏は終わり、
季節は秋になろうとしてました。




