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元被虐児童、軍で生きる 〜裂け目の先の日常〜  作者: ヒヨコのピヨ
本編・春坂智視点

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5/13

どうやら悟ったようだ

今度は首が……!

色々と痛いヒヨコでスミマセン!

後日。春坂は、藤宮の下へ向かっていた。資料館で調べたいものも調べられたし、ほとんど確信へと至っていた。

そして、その最後のピースを揃えるために必要だったのが、藤宮だったのだ。どうして分かるのか。きっとそう聞かれるだろう。理由は一つ。


自分の事であるから、だ。


緊張した面持ちで扉に手を添える。そして、ノック。


コン、コン、コン。


「春坂一等兵です。」

「どうぞ」

「失礼します。」


ここからが正念場だ。


「あなたの親の写真を見せていただけませんか?」

「なぜ持っていると踏んだ、と聞いたら?」

「自分のことが分からないほど無知ではないですよ」


そう答えるやいなや、藤宮は笑い出した。

藤宮の笑い声が、資料室の静けさに微かに響く。

その表情は穏やかで、どこか余裕さえ感じられた。


そして、藤宮は無造作に懐から一枚の家族写真を取り出した。

そこに写っていたのは、3人の姿。顔は多少変わっていたが、あの時の記憶と重なる何かがあった。幼い日の、自分を叱責する大人の影。逃げるしかなかった路地裏。雨に濡れたアスファルト。追いかけてくる足音。


胸の奥が、突然ざわつき始める。

まるで閉じ込められていた過去の映像が、一気に押し寄せるようだった。

春坂は息を呑み、手をテーブルに置き、視線を落とす。


「……これは……」


言葉にならない声が、かろうじて漏れる。

分かってはいたのだが、やはり耐えられそうにない。

心の中で無理やり押し込めてきた記憶が、目の前の写真によって呼び覚まされ、吐き気とともに胸を締め付ける。


藤宮は春坂の変化に気づいたが、すぐには口を開かず、静かに待った。


「……ちょっと、外の空気を……」


春坂はつぶやき、顔を背けて資料室を出る。

廊下に出ると、冷たい空気が肺を満たし、わずかに落ち着きを取り戻す。

でも、胸の奥のざわつきは消えない。

写真が触れた過去の記憶は、もう二度と完全には押し込められないことを、春坂は悟っていた。

振り返ると、資料室の扉の向こうに藤宮が立っていた。

声はかけてこない。ただ、春坂を静かに見つめ、その瞳の奥には──何かを察したような光があった。


春坂は小さく息をつき、扉を閉める。そして迷いなく藤宮へ歩み寄った。


「……何か悟ったのか?」


階級差を考えれば、軽々しく話しかけるべきではない。藤宮の声音には、注意を促す色も混じっていた。

だが、もうそんな段階ではなかった。



「お前は、この世界の人間じゃないな。──“表”側の人間。そうだろう」

驚くことに、本編はもう折り返し地点に立っています。

いくら気まぐれとはいえ、10000文字は少なく感じますね。

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