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元被虐児童、軍で生きる 〜裂け目の先の日常〜  作者: ヒヨコのピヨ
別視点

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13/13

覚悟

ちょっと遅れた投稿です

白いテーブルの上には、水の入った紙コップがひとつ。

藤宮創一は、その前で静かに両手を組み、まるで自分が客人であるかのように落ち着いて座っていた。

扉が開き、刑事が二人入ってくる。

一人は若く、もう一人は年季の入った目を持つ男だった。


「――藤宮創一さん。あらためて伺います。あなたは、現場にあった“軍服”について、どう説明します

か?」


刑事の声は、探りを含んでいた。

創一はまぶたをゆっくり閉じ、そして静かに開いた。


「……軍の人間です。階級は“大尉”。裏側の世界から来た者です。」


若い刑事が露骨に眉をひそめる。


「以前から、発見以前にそこへ入った人物がいるのでは、という噂は聞いてますが……あなた、自分が何を言ってるのかわかってるんですか?」


創一は表情を変えず、淡々と続けた。


「信じなくても構いません。ですが、私が着ていた軍服は本物。

階級章も、規格も、こちらの世界では製造されていないはずです。」


年配の刑事が、机にそっと資料を置く。


「……確かに、鑑識の報告がまだ来ていないものの、どうも妙なんだよな。

素材も規格も、こちらでは作られていないものだ。」


若い刑事は苛立ちを隠さず、前のめりになる。


「じゃあ聞きますが――あなたは、なぜあの場所へ行ったんですか?

どうしてご両親の近くにいた?」


創一は、わずかに呼吸を止める。

それは、ほんの一瞬。

責められて動揺したのではなく、どう言葉を選ぶか考えるための“間”だった。


「……理由は、ひとつです。

終わらせるため。長い間、自分の中に残っていたものを。」

「“残っていたもの”とは?」

「過去です。」


若い刑事が口を開きかけるが、年配の刑事が手で制した。


「……藤宮さん。あなたの近くにいた方は、発見されたとき既に……動けない状態だった。

あなたは否認しない。けれど、どうしてそうなったのか“具体的”には語らない。それはなぜです?」


創一は、テーブルの上に置いた指先をわずかに動かした。


「話す価値がないからです。それに――私は裁かれに来ました。

裏へ戻れるなら、軍法で。

こちらで裁かれるなら、それでも構わない。」


取り調べ室の空気が一瞬だけ“止まった”。

若い刑事が、声を低くする。


「……あなた、本気で言ってるんですか?」

「ええ。本気です。私は居場所を持たない人間ですから。

だから、せめて――

自分の最後くらいは、自分で選びます。」


淡々とした言葉なのに、その奥には長い年月を積み上げたような静かな疲労があった。

刑事たちは目を合わせ、息を吐く。

そして年配の刑事が、記録用紙を閉じながら言った。


「……まだ聞きたいことは山ほどある。だが、一つだけ今の段階で言える。

あなたは、自分が思っているよりずっと“人間”だよ。」


創一のまぶたが、ほんのわずかだけ揺れた。

だが何も言わない。

静寂が戻り、取り調べ室は再び時計の音だけを響かせた。

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― 新着の感想 ―
一気に読みました。 創造神は救いたいとは違う、現実に近い感じがしました。 戦闘シーンは、参考資料があるのですか? 余談です。 目、首を痛めながらの執筆はあまり感心ができませんよ。
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