悲劇的なプロローグ
初投稿です
俺は薄情な人間なんだと思う。
俺が住んでいた都市に異界獣と呼ばれる化け物が俺の都市を襲った。
異界獣それは約100年前程前に急にこの世界に現れた化け物。
その異界獣はこの世界に存在する生物のDNAを一つも持ってなく、普通の動物とは違い炎や雷など魔法のようなものを使い人を喰らう生物を人々はこの世界じゃない異界の獣、異界獣と呼ぶようになった。
この異界獣の出現により世界は恐怖と混沌に包まれた。
異界獣には銃や爆弾などを使い攻撃しても全く攻撃を通らず繁栄していた都市や街などはは異界獣に食い散られ、 逃げる場所もなく異界獣たちによっ絶望と悲運がありふれた。
そんなありふれた絶望と悲運の被害に俺は遭った。
俺の住んでいた都市に謎の割れ目から異界獣が現れ両親妹、俺の家族は俺以外全員が異界獣に喰い殺された。
咄嗟にクローゼットに隠れた俺は両親が異界獣に食われる音をひたすらにクローゼット越しに聞き忍び耐えていた。
そして何分何時間経ったのかわからないが機動隊がやってきて俺は救助された。
クローゼットから出た時のことは多分何年経っても忘れないだろう。
食い散らかされ骨しか残っていない両親の遺体、それと鼻がイカレる程の死臭。
まだ中学生の俺は生きて早々に地獄を見た。
「成くん大変だったね」
異界獣の被害に遭った人達の葬が終わり
俺は母と父の遺品をじっと眺めていると後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
声が聞こえる方を振り返ると今でも泣きそうな悲しそうな顔をした見覚えのある顔をした女性が立っていた。
「渋川さん?」
渋川さん俺たち家族の近所に住んでいて確か両親達とすごく仲が良かった。
誕生日やお正月になると妹と俺に毎回プレゼントをくれるご近所さん。
「あぁそうだよ渋川だよ、良かった成くんが無事で!」
そう言い渋川さんは俺を急に抱きしめ始める。
抱きついてきた渋川さんは少し汗臭くそれとどこか安心できるいい匂いがした。
それと昔母に抱きつかれた時の暖かさを少し思い出した。
そう思い出に慕っていると
俺の肩にポツポツと雨のような雫が垂れ落ちている感触があった。
そっと俺は上を見るとそこには大粒の涙を流していた渋川さんの顔があった。
肩に落ちてくる雫は渋川さんの涙だった。
「ごめんね、ごめんね泣きたいのは成くんの方だよねごめんね」
そう言い何も間違ったことをしてない渋川さんが俺に涙をとめてずに謝った。
そんな渋川さんを見て俺はやっぱり自分が薄情な人間だと確信した。
俺は家族が食われている時も家族の葬儀中も涙や怒りが出ることはなかった。
泣き崩れる渋川さんを見てなぜこの人は他人が死んだだけでこんなに泣いているんだろうと思ってしまった
あったのは悲運と絶望に対する悲しさと、大切な何かが取れてしまったような自分が不良品だと気づいた機械のような寂しさな気持ちだった。
「大丈夫ですよ渋川さん。自分は平気です。」
俺は薄情な人間なのだろう。
だが泣き崩れる渋川さんを見て俺は何故だか人として美しく感じた
そして優しさを感じた。
俺は人間として不良品だ。
だが不良品ならば直せばいいはずだ。
まだ不良品なのだから治せるかもしれない。
もし俺が不良品じゃなくなったら
この人見たく俺は涙を流せるだろうか。
その答えを俺は探している。