表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

知らない女の子

カノンさん視点です。

 私は...前世の記憶がある。というか多分転生者だ。前世ではどう死んでしまったのか分からない。でも,そのせいか私は感情の起伏もない蝋人形の様に...いや元からですが。そんな私は今アグネーゼ侯爵家でメイドとして働いております。しかもリリヴィアちゃん専属の!いきなりなんだって?そりゃ私が生前プレイしていたゲーム!ゲーム...あれ?タイトルが思い出せない...まぁいっか。そのゲームにリリヴィア・アグネーゼっていう女の子がそりゃあもう可愛くて!パッケージに映るリリヴィアちゃんを見てこの子が主人公かぁって買ったらまさかの悪役令嬢。まぁ悪役と言うより作品きっての常識人ですが。


 まぁ色々あってカノンとしてリリヴィアちゃんに仕えております。私が望むのはただ一つ!リリヴィアちゃんの幸せ!その為にはクズとの婚約破棄が最優先。でも...リリヴィアちゃんはクズとはまだ会ったことも手紙を交わしたことも肖像画を見た事も無いんです!これはもう王家の陰謀ですよ。可愛い可愛いリリヴィアちゃんを何としてでも王家に迎え入れる気です。お宅のクズは男が好きなんで家のお嬢様に変な粉かけないで頂きたい!...え?なんで分かるかって?そりゃあのゲームの主人公が男で,攻略対象も男っていうBLゲームだからで...初耳?それもまぁ仕方ない事です。だって公式ファンブックで明かされた内容ですもん。あのゲームって基本主人公の一人称視点なんで主人公の顔とか全然分からないから服装からして女の子だなって皆思ってたんです。声も高いですし。ゲーム内紹介文も『魔法の才能が有り,貴族の養子となった記憶喪失の平民』とありがちな設定。まぁレベルカンストしたらラスボスワンパン...ていうか首チョンパ出来るぐらい強い最強主人公ちゃん...だと思ってたんだけどなぁ。公式ファンブックで明かされた内容...『本名:リノア・リオルヴ,リオルヴ伯爵家長男』ファンの皆が騒然としましたよ。主にファンアートの分野が。今まで貧乳少女だった主人公ちゃんが急に女装男子に進化したんですもの。いや男の娘って言った方が近いですね。だってリリヴィアちゃんに勝るとも劣らない美少女(男)でしたし。そう考えるとこの世界のクズは主人公ちゃん...リノアちゃん...ちゃんでいいのか?に性癖破壊されてないからまだ異性が恋愛対象かな?それでもあげませんけどね!


 それにしてもリオルヴ伯爵ですか...どっかで聞いたことあるんですよね。勿論こっちの世界で。ちょっとリリヴィアちゃん...お嬢様に聞いてみますか。


「あぁ,部下さんの事ね。ほら,たまに来るでしょ?」


 あ〜!アグネーゼ侯爵の部下さんでしたか。ていうかお嬢様,伯爵様を部下さん呼びしていいんですか?


「何今更言ってるの?物心つく前から部下さん呼びだから...その,変えずらくて。貴方なら知っているでしょう?」


 そういえばそうでしたね。いや,まさかあの部下さんが伯爵様なんて思わないですよ本当。だってただの気さくないい人ですよ?


「貴方...そういう本の読みすぎじゃない?仮に,もし仮に悪い人でも表に出すわけないじゃない。」


 それもそうですね。


「まぁいいわ。ちょっと調べて欲しい事があるのだけど...」


「...如何様に?」


「急に感情を無くすのを辞めなさいとあれ程言っているでしょう?...はぁ,今回調べて欲しいのは私のお友達の事よ?」


「はて?お嬢様にご友人などあらせられましたかな?」


「口調も変えないで。まぁ正確にはこれから友達になる子よ。さっき言ってた部下さんの娘(・・・)さんね?」


「?!...リノア・リオルヴ...」


「知ってるの?」


「え,えぇ...」


 え?まじ?リノアちゃんってもしかしなくてもリリヴィアちゃんの幼馴染なの?やばい。やばいやばいやばい!リリヴィアちゃん今リノアちゃんを部下さんの娘さんって言ってた!もしかしなくてもおそらくリオルヴ伯爵は自分の子供の性別を偽ってる...あれ?これ私が知ってちゃいけない事なのでは?


「私のお友達になるのでしょう?最低限の事は知っておきたいわ。あと...出来れば肖像画も。」


 公式ファンブックの内容なら覚えてますよ!でもあれは記憶喪失後なんでちょっと違うかもしれないですね。


「肖像画についてはリオルヴ伯爵に尋ねてみては?おそらくいつもつけているペンダントに肖像画が入っているのではないでしょうか。」


 よぉし!そうと決まれば早速調査開始です。と言っても今回は(・・・)健全な奴ですので聞きこみ調査です。え?侯爵様が呼んでる?何か調べて欲しい事があるのでしょうか?クズ関連は嫌ですけどねぇ。


「...リノア嬢について調べて分かった事は先ず私に伝えろ。」


 ひぇっ...なんで知ってるんですかこの方は。


「今回は令嬢の調査と言えどまだ六歳の女児です。聞きこみ調査が主ですが全てですか?」


「全てだ。全力(・・)で調べろ。」


「?!まじですか?もしバレでもしたら...」


「もしなんて無い。」


 はいぃ...了解ですぅ。

心の中はいつも愉快なカノンさんですが一切表情が変わりません。ちなみに仕事内容はメイド(笑)らしいですよ。給料は良いんですけど...

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ