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リリヴィア・アグネーゼですわ

 私はリリヴィア・アグネーぜ。アグネーぜ侯爵家の長女です。お父様が言うには私には婚約者が居るらしいです。なんでも産まれる前から決められていたみたいで,拒否権なんてありませんでした。まぁ相手は王位継承権持ちの王子様ですし恋愛結婚ではないにしても損は無いでしょう...嘘です。淑女教育がキツすぎます。顔も見た事ない相手の為に死ねる程私も優しくないです。最近お父様は部下さんの家に出向く事が多くなりました。こちらの方が立場が上なのにどうしてでしょう?でもそんな考えは直ぐに消えました。お父様と部下さんはとても仲がいいです。友人の様なと言うより友人でしょう。お父様は友人の家に遊びに行っているのです。お母様は怒りました。そんなに友人が大事なのと。確かに私も少し寂しかったです。でもお母様の態度は直ぐに軟化しました。あんなに怒っていたのに...お母様が言うには私のお友達になるであろう方とお会いしていたそうです。なんでも部下さんの娘さん(・・・)だそうで!淑女教育が終わるまでお会いできない殿下より目先の友人の方が嬉しい私はおかしいかしら。でも初めてお会いする方ですから事前情報を仕入れましょう。先ずお名前ですね,リノア・リオルヴさん。誕生日は八月十五日,私の方がお姉ちゃんです。性別は女の子,まぁ当然ですね。成績は優秀で私に並び立てるほどだそうでお姉ちゃんとして負けてられません。更にとても可愛らしい娘だと部下さんが肖像画を見せてくださいました。まるでお人形さんのようで一目惚れしてしまいました!来週には会えるそうなので準備しなくては!


「リノア嬢を喜ばせたいのかい?」


「はい,お父様。リノア様と友人になるために何かできることはないかと模索しているのです。」


「サプライズなんてどうだろう,メイドに紛れて隠れていたり...」


「そんなことをして嫌われたらどうしましょう...」


 喜ばせるためのものなのに驚いてしまわれては...いたずら好きだと思われては...私仲良くなれないかも...


「リノア嬢は聡明だ。確かに驚きはするだろうがそれだけで嫌いになったりはしないよ。」


 それなら良いのですが...いえもう時間がありません。早速メイドたちと作戦会議をしましょう。出迎えのパーラーメイドの五分の四あたりにいればいいのでしょうか...端っこだと目立ってしまいます。私はまだまだ子供で身長が高くはありません。身長が高くないものを中心に配置しましょう。あとはあとは...年甲斐もなくはしゃいでしまいました。いえ年齢的にはあっていますが淑女として恥じぬ行動をしなければ。











 今日遂にリノア様がうちにいらっしゃいます!私は完全にパーラーメイドに紛れていますしおそらくバレることはないでしょう。到着予定はもうすぐです,きっと驚かせてみせます!...と思っていたのですが。


「初めましてリリヴィア・アグネーゼ様。私はリノア・リオルヴと申します。」


 私の目の前には私なんて霞むほどの美少女がカーテシーをしております。どうしてバレているのでしょう...?私の変装は完璧なはずです。肖像画とは似ても似つかぬ顔をしておりますしそばかすもつけました。ほら部下さんも困惑しています...


「リノア?この子はリリヴィア嬢ではないよ。どうしたんだい?」


「いえ,お父様。この方こそ間違いなくリリヴィア様ですわ。確かにメイクはしておりますが...」


 リノア様は確実に気づいておられる様子。でも会ったことある部下さんが気づかないのにどうして私に気づけたのでしょう?


「何かあったかい?」


 不審に思ったお父様がこちらに歩いてきました。とても楽しそうな顔をして...


「カルヴィン!それが...リノアがこの子がリリヴィア嬢だといって聞かないんだ。」


「リノア嬢...どうしてこの子がリリヴィアだと思ったんだい?」


 それは私が今一番気になっていることです。まさかメイドが口をすべらせたなんて事があるはずがございません。我が家のメイドですし箝口令を敷きました。それにメイクは今日調整したはずなので肖像画を書く時間も届ける時間もありませんでした。


「こんにちはアグネーぜ侯爵。私がこの方をリリヴィア様と思った理由ですか...そうですね,メイクしたぐらいで友人を見間違えません。で,どうでしょう。」


「だ,そうだよリリヴィア?」


「納得いきませんわ!」


 ええ納得いきませんわ。だって答えになってないじゃないですか。第一まだお友達じゃありませんし。いえ,お友達になりたく無いわけではございませんのよ?こんなに可愛いらしい方とお友達なんてむしろ私からお願いしますわ!


「そうですね,先ず纏っているオーラ(・・・)が違いました。少ない作法ではありましたが他のメイドさん方...特にリリヴィア様の周辺では一番目立っておりました。後はメイクですね。変装しようと如何せん素朴に寄せ過ぎています。なのに動作は一流にも勝るとも劣らない。他にも(・・・)ありますが大きいのはここら辺ですかね。」


「...なるほどね。そこに気付いて指摘...いや確信を持って挨拶とは流石だねリノア嬢。」


「恐縮です。」


 ぽかーんですわぽかーん。淑女がこんな言葉を使うのははしたないですけど心内なので大丈夫でしょう...リノア様は探偵さんか何かなのかしら。


「改めましてアグネーゼ侯爵家長女,リリヴィア・アグネーゼですわ。よろしくお願い致します。非常に申し訳ないのですがメイクを落とすために暫しお待ちを。」


 こんな筈ではなかったのですけど。

ひどい目にあいました(自業自得)。

今日ドラえもんの映画を見に行ったんですが財布を落としまして,運良く拾った方が届けてくださって無事見つかったんですが本人確認がものすっごく長かったです。一部分だけどうぞ。


店員さん「はい,こちらで間違いないですかね。」


私「それです!」


店員さん「では中身の確認をしていきます。何か特徴的な物を入れてたりしませんか?」


私「えぇっと...2013年10月31日熠椛メルトが拾った,と書いてあるジップロックに入った蛇の皮と百円札が入ってるはずです。」


店員さん「は?」


私「え?」


店員さん「えっと,日付付きの蛇の皮と百円札ですね...うわ。」


私「今うわって...」


店員さん「確かに蛇の皮はありますけど百円札が見当たりませんよ?」


私「そこの小さいポケットに折り畳んで入ってないですか?洗濯済み百円札。」


店員さん「洗濯済み...」


私「はい。」


店員さん「ありますね...洗濯済み百円札...以上で確認を終わります。気を付けてくださいね。」


私「ありがとうございました...」


もう...店員さんのこっちを見る目が辛くて...映画の内容ほっとんど吹っ飛びましたね。

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