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リノア・リオルヴと申します

「オギャー!オギャー!」


 うるっさ!何?走馬灯?知らない天井だなぁ...て言うか天蓋じゃない?病院で産まれたんじゃないの?それに私目開いてるし見えてるって少しおかしくない?赤ちゃんって目開かないんじゃなかったっけ...


「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」


 え?私は女だったよ?名前は思い出せないけど性別は分かる...


「リノア!お前は今日からリノア・リオルヴだ!」


 それが...私の名前?いやいやいや私在日系日系日本人でしたが?!え〜何,転生?!こういうのってさっきまでやってたゲームの世界に転生するんじゃないの?!リノア・リオルヴなんてあのゲームに出てこなかったし!


「リノア...いい名前ね。リノア〜お母さんですよ〜。」


 めっちゃおっとりとした人だなぁ。すごく美人だしこれは私も将来有望かな?父親は男前だし...結構いい所に生まれたのでは?


「リノア...貴方の人生に多幸あれ。」


 ふぁ〜...眠気が...泣き疲れてしまったか。子供体力恐るべ...し..
















 私の名前はリノア・リオルヴ。リオルヴ伯爵家の長男として生まれた...筈だった。私は男でありながら女性の格好をしている。決して私の趣味ではない。なんでもお偉いさんの子供の友人にと命令を受けたらしい。で,そのお偉いさんの子供が女の子で産まれる前から婚約者居るんだって。友人になる事は確定事項だけど恋慕が出来ては困るから女性として接するらしい。その事について両親はと言うと...


「リノアは可愛いからきっと大丈夫よ!男の子もいいけど女の子を着飾るのも夢だったの!」


「リノア...男としてはお前の気持ちを分かってやれるが...俺に母さんは止められない。不甲斐ないよ...」


 と概ね良好。まぁ鏡で見る私美幼女ですし?男ですけど。子供なんて小さい頃は皆こんなんでしょ...と当時の私は思っておりました。

 そして今日そのお偉いさんの子供との顔合わせなのですが...


「リノア様は素材が良いので既に女性として見られます。声変わりもまだ早く言葉使いも綺麗ですので問題は無いかと。」


 父さん...お父様似の男前ではなく絶世の美少女と成長を遂げていた私は6歳と言うには相応しくない美貌を手に入れていた。ん〜一応前世が女だったので着替えや手入れ等はある程度分かるのだがそれをする事で美しさに磨きがかかるのは今世男として割と複雑だったりする。


「さぁ行こうかリノア。」


「えぇ,お父様。」


 そして六年たってもまだ慣れないお嬢様口調。前世という慣れが強すぎて矯正出来なかったんだよね。まぁ今現在男だって事も関係してるけど。馬車に乗って目的地へ向かう。確かアグネーゼ侯爵家だったかな。アグネーゼ侯爵には何度かお会いしたがお父さ...お父様とは兄弟のように仲が良く,最初は罪悪感故か私によそよそしかったけど最近はそんな事は無い。たまに勉強も見てくれる。"うちの娘に負けず劣らず優秀だ"と褒めてくれるけど私は転生って言うアドバンテージがあるのに負けず劣らずってどれだけ優秀なのってちょっと怖い。それに最近は領地経営についても教えてくれるけどそれって言っていいのって事も教えてくれる。"もしもの時は..."なんて誤魔化してるけどちょっと口が軽いのかもしれない。


「リノア,緊張しているのかい?」


「えぇ,お父様。私だって初めてお会いする同年代の方ですし,お父様の上司のお子さんですし緊張ぐらいしますわ。ですがアグネーゼ侯爵様はとても良い方ですしお子さんとも友人...悪くても良好な関係を築く為に...」


「そんなに気負わなくていいよリノア。今日は顔合わせでお互い初めましてだ。初めからすぐ仲良くなれるとは限らないからね。」


 それもそうか。義務的に友人になるのではなく,心から信頼出来る友人にならねば...!


「...伝わってない気がするね。」


 お父様は馬車酔いだろうか,遠い目をしている。確かに結構揺れるけど大衆馬車とかはもっと酷いし,ここは舗装された道だ。お父様は乗り物が苦手なのかもしれない。


「着いたよ,リノア。」


 お父様が先におりて手を差し伸べる。手を取る私は目の前の光景に萎縮していた...ずらーっと並ぶメイドさん達,私達が乗った馬車からその光景が見えるかな〜ってぐらいの時からこの状態だった。やばい...もし遅れたらずっと立っていたのだろうか。お父様に連れられメイドさん達の間を歩く...パーラーメイドかな?顔が良い。...少し違和感を感じて私は立ち止まった。いや少しなんてもんじゃない。確信と興奮の入り交じった満面の笑みを浮かべて...


「初めましてリリヴィア・アグネーゼ様。私はリノア・リオルヴと申します。」

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