突然の修羅場と、公開キス!?
そこにいたのは、派手な服を着た高校生くらいの女だった。
かなりの美人だが、若干目つきがキツイ。化粧も高校生にしては濃いめで、正直近寄りがたい雰囲気があった。
ハヤトが面倒くさそうに声を漏らした。
「うわ……ホノカかよ。一番会いたくない奴に会っちまったな……」
「誰なの?」
小声で尋ねるオレ。
「一番会いたくねー奴。つーか、アイツに諦めさせるために写真撮ってたんだよ」
オイオイ、マジか?
てことはこれ、修羅場確定!?
「ハヤト、なんなのよその女の子。新人モデルの子……ってわけじゃないわよね?」
ジロジロと値踏みするようにオレを見るホノカ。明らかに敵意と警戒心が滲んでいる。
「決まってんだろ。彼女だよ」
「!?」
「ちょ、ちょっとハヤト……!」
慌てるオレ。
「わりぃ。話合わせてくれ。適当に誤魔化して追い返すから」
マジかよ……。
とゆーか、なんでオレがそんな面倒くさいことをしなくちゃならないんだ……?
三十七歳のオッサンのオレが……。
「じょ、冗談でしょ!? アンタに彼女なんているわけないわ。恋愛なんて興味ないってずっと言ってたじゃない!」
「気が変わった。で、コイツと付き合ってる」
「ど、どうも……」
仕方なくペコリと頭を下げるオレ。
「あなたが、ハヤトの彼女? 嘘でしょ?」
「あの、はい、……一応、ハヤトくんの彼女です」
これ以上面倒くさくなるのが嫌だったので、適当に誤魔化して終わらせようと話を合わせるオレ。
まさか自分の口から、「〇〇くんの彼女です」なんて言葉を口にする日が来るとは夢にも思わなかったぜ……。
「な? 赤くなっちゃってカワイイだろ? ついからかいたくなっちまうんだよな。……いでっ!」
調子に乗ってオレの肩を抱き寄せるハヤトの足を、バレないように踏みつける。
まあでも、はたから見たら確かに美男美女のカップルだよな。説得力はある。
が、ホノカは認めたくなかったらしい。
「う、嘘よ! ハヤトが私以外の女になびくなんて!」
……どんだけプライドが高いんだよ。
「どうせ、適当な女に彼女の芝居させてるだけなんでしょ!?」
意外と鋭いな、この子。
「そんなんじゃねえって。ホント面倒くさいな、お前」
「だったら、証拠見せてよ!」
は?
証拠?
「証拠ってなんだよ?」
「キスしてみせて」
!?
「な、な、何を言ってるんですか、いきなり!?」
動揺するオレ。
が、ここで問題が起きた!
ドS野郎のハヤトが、オレの動揺を見て楽しそうにニヤリと笑いやがったのだ!
「なんだよ、そんなの簡単じゃん」
!?!?!?!?!?!?!?
「は、ハヤトくん、何を!?」
慌てるオレを抱き寄せ、クイとオレの顎を上げる。
Sっ気全開の黒い笑みを口元に浮かべて、ハヤトが囁く。
「見せつけてやろうぜ」