ドキッ☆ 初めてのラブラブデート! ……なわけねえだろ!
なんで、なんでこんなことに……
その日、オレは朝から駅前の広場でひたすら自問自答していた。
昨日、ハヤトからの意味不明なデートの申し出をされ、ひたすら拒んでいたはずなのに、気が付いたらこの有様である。
まあ、『デートつっても、基本は買い物に付き合ってくれるだけでいい』だの、『デートしてくれたらもうウザ絡みしないでやるから』というやつの言葉を信じたからではあるのだが……。
それにしても、いくら転生したとはいえ、まさか37のオッサンにもなって高校生男子とデートすることになるとは思いもしなかったぜ……。
「よー、なにそんなこの世の終わりみたいな顔してんだよ、ライト」
ハヤトが来た。
予想していたが、私服だとさらにやばいくらいカッコいい。飾りすぎないラフなファッションなのに、素材がいいから余計にイケメンに見える。
……イケメンは敵だ。
「別に。なんでこんなことになったんだろうって後悔してただけ」
オレはふてくされ気味に答える。
「そういうなって。ちょっと買い物に付き合ってもらうだけだからさ」
「何を買うのさ?」
「彼女の服」
……………へ?
「ええっ! ハヤトって、彼女いるの?」
「なに驚いてんだよ。オレ、トップモデルだぞ? 彼女がいたって何もおかしくないだろ?」
そういえば、コイツは某若者向け雑誌のカリスマ読者モデルなんだとクラスの連中から聞いた。
しかしそれにしても、まさか彼女がいたとは……BL小説のキャラじゃなかったのか?
「つーわけで、さっさと行こうぜ。けっこう量あるからな」
「う、うん……」
なるほど、彼女のプレゼント用の服を買うのに、第三者の意見が欲しいということか。
こんなイケメンくんでも、プレゼント選びは失敗したくないだなんて、かわいいとこもあるじゃねえか。
それから、オレたちはいろいろな服屋を回り、女物の服を買い集めた。ワンピースに靴にアクセサリーと、全身分だ。
さすがに下着は買わなかったが、普通プレゼントってこんなに一式買うものなのか?
恋愛経験が少ないから正直分からん。
「うし。あとはウィッグだけだな」
「ウィッグ?」
なんだそれ? 翼?
と思ったら、すぐに分かった。カツラのことらしい。
最近の若い子は髪型を変えるためにこういったアイテムを使ったりするのだそうだ。
うちの課長がハゲ隠しにかぶっていたのとは目的が違うらしい。
ハヤトはロングヘアーのウィッグを買った。
「ふいー、買った買った。けっこう女物の服を買うのって大変なんだな。もう二度とやりたくねえ」
「確かに。でも、これだけ一生懸命選んで買ったんだから、ハヤトの彼女さんもきっと喜んでくれるよ」
オレが本心でそう言ったら、ハヤトはなぜか不思議そうな顔をした。
「は? オレに彼女なんていねえよ?」
「……へ?」
「これを着るのはお前。今日一日、オレの彼女のフリをしてくれ」
一瞬、思考停止する
それから、パニック。
「はああああああ!? ちょ、なに言ってんのさ! さっき彼女がいるって言ってただろ!?」
「いるなんて言ってねーよ。いてもおかしくないだろって言っただけ。恋愛なんてめんどくせーから興味ねーよ」
「だったら何で僕が彼女のフリなんてしなくちゃいけないのさ! しかも女物の服まで着て!」
「だってお前、女みたいな見た目してんじゃん。だから彼女役やってもらうには最適なんだよ。そのために買い物にも付き合ってもらったんだしさ」
そ、そういえば、やたらと服を選ぶときにオレの方見たり、オレのサイズを聞いたりしてたな。
あれはオレの服を選んでたのか!!!
「や、やだよ! 女の子の服着てデートなんて! 冗談じゃない!」
「おいおい、昨日ちゃんと約束しただろ、デートするって。デートってのは普通、男と女がするものだよな?」
小悪魔のようなサディスティックな笑みを浮かべるハヤト。
だ、だ、騙された……!
いや、騙されてはいないのか?
ああもう、どっちだっていい!
とにかく……最悪だ!




