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試合終了


「せんぱーい! 見ててくれたっすか〜!」


 


 試合終了後、興奮した表情でヨウが駆け寄ってきた。




「ああ。すごかったね、ヨウ」




 ヨウはこの試合で宣言通りハットトリックを決めた。


 ヨウのテクニックはずば抜けていて、サッカーに詳しくないオレから見てもヨウがその他の選手たちとは一線を画す実力の持ち主であることが分かるほどだった。




「センパーイ!」


「どわっ!」




 駆け寄ってきたヨウにそのまま飛びつかれ、押し倒されるオレ。




「いたたたた……な、なにしてるのさ!」


「えへへ。センパイに褒められたと思うとつい嬉しくって、飛びついちゃったっす!」


「子犬か、君は……」 




 呆れる。


 でも本当に、子犬みたいだ。今もパタパタと尻尾をふっている気がする。


 


「でも、驚いたよ。まさかヨウがあんなにすごい選手だったなんてさ。一人だけプロみたいだった」


「とーぜんすよ!」




 照れたように笑う。



 ほんと、どこまでもまっすぐな男だ。




「ところで、いつまで僕の上に乗ってるつもり?」


「あっ、すんません!」




 慌てて立ち上がるヨウ。



 オレを起こそうと手を差し出す。




「センパイ、手」


「ありがと」




 差し出された手を握る。




「…………っ」



「どうかしたの? ヨウ」


「なんか今、センパイの手を握った瞬間、ドキッとしちゃいました。男同士なのに変すよね」


「し、試合したばかりだからじゃないかな?」




 慌てて誤魔化すオレ。


 そうだった。ここはBLの世界。


 ヨウといえども油断は出来ないのだ。




「そうだ。センパイ、このあと一緒にメシでもどうっすか?」


「ご、ごめん! ちょっと急いでるから!」


「あっ、センパーイ!」



 逃げるようにその場を立ち去るオレ。


 すまん、ヨウ。許してくれ。


 今日だけは、誰とも仲良くするわけにはいかんのだ。



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