着々と構築されるルイト包囲網。
「せんぱーい、なにボーッとしてんすか?」
翌日の早朝。
オレは学校近くの土手に立っていた。
約束していたヨウのトレーニングに付き合うためだ。
と言っても、オレは考えてきたトレーニングメニューを伝えてあとは記録を取るだけなので、やることは正直あまりない。
というか、学園祭のことで頭がいっぱいで、ヨウには悪いがトレーニングところじゃない。
「ちょっと学園祭のこと考えてた」
「学園祭っすか。いいっすね! オレ、めっちゃ楽しみです!」
キラキラした顔で言うヨウ。
ああ、この真っ直ぐな若さが羨ましい。オレにもこんな時代があった……ような気がする。たぶん。
「うちの学園祭ってそんなに楽しいの?」
「学園祭はフツーなんですけど、オレ、試合があるんすよ! うちの学園祭の伝統で、サッカーは学園祭の日に校庭で他校と試合するんす! 絶対負けられない戦いって奴っすね!」
なるほど。
たしかにそれは気合が入りそうだ。
「そうだ! ルイト先輩、試合観に来てくださいよ!」
「試合? う〜ん、行けたらね! 僕、生徒会の手伝いしなくちゃいけないから」
「じゃあ、サボって観に来てください!」
「あのねぇ……」
「約束っす! じゃ、オレもうちょっと走ってくるんで!」
「ちょ、ちょっと……!」
引き止める間もなく、ヨウは走って行ってしまった。
「はあ……ややこしくなりそう……」
思わずため息ひとつ。
ピコン!
と、その時ラインの通知音が鳴った。
「げっ!」
それはキリヤの妹、ホノカからだった。
『もうすぐ学園祭なんでしょ? 久しぶりに休みが取れたから、遊びに行くわ。あなたともゆっくりお話したいしね』
続いて、『楽しみ……』と意味ありげに笑うクマのぬいぐるみのスタンプが送られてきた。
さ、最悪な学園祭になりそうな予感がする……




