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イケメンが 増えていきます 次々と

 まったく、転校初日からどうかしてるぜ……


 謎のイケメン眼鏡から逃げてきたオレは、職員室のある校舎の脇で立ち止まった。

 

 たくっ、普通こういうギャルゲーの世界って、転校初日に次から次に美少女キャラがやってくるもんじゃないのか?


 なんだって朝からイケメンどもに絡まれなきゃいけないんだよ!



「ん?」



 と、一人でこの状況を嘆いていたら、そばの木の下で誰かが横たわっていることに気づいた。


 男のくせに髪の長い、中世的で穏やかな顔立ちの男だ。


 すげえ美形だが、かっこいいというよりも『綺麗』と形容した方が適切な感じがする見た目だ。


 と、その美形クンがオレの視線に気づいて顔を上げた。


 どうやら芝生の上に寝っ転がって文庫本を読んでいたらしい。




「やあ。こんにちは」




 穏やかに笑いかけてくる。




「ど、どうも……」


「そんなに息を切らせてどうしたの? まるで強盗から逃げてきたみたいだね」


「いえ、その……」



 男に迫られて(?)逃げてきたんです、とは言えない。


 ネクタイのラインの色を見ると、どうやら三年生のようだった。




「あの、先輩こそどうしてこんなところで読書なんてしてるんですか?」


「ここが一番静かだからさ。ほら、ここって職員室のすぐ隣だろ? だから他の生徒たちは無意識に近寄らないのさ。穴場ってやつかな。読書するにはもってこいだよ。木陰も気持ちいいしね」


「はあ……」




 ずいぶんと優雅なことで。





「それより、きみの方こそ生徒会長に怒られて大変だったね?」


「へ? 生徒会長?」


「違うかい? 眼鏡をかけた、長身の怖い顔の三年生さ。『ここは立ち入り禁止だ』とか言われたんだろ?」



 

 あいつ、生徒会長だったのか!


 けど…… 




「ど、どうして分かったんですか? 僕が生徒会長に怒られたって……」


「簡単な推理だよ。きみは校舎裏の方から走ってきた。あそこに入っちゃいけないことはこの学校の生徒なら誰だって知っている。会長の怖さもね。でもきみは転校生だからそのことを知らない。だからうっかり校舎裏に足を踏み入れてしまって、会長に注意されて慌てて逃げてきたんだと思ったのさ。違うかな?」


「そ、その通りですけど……なんで僕が転校生だって分かったんですか?」


「それはもちろん、初めて見る顔だからさ。この学校の生徒の顔は一応全員覚えているつもりだからね」




 す、すげえな、こいつ……!




「忠告だけどね、会長にはあまり関わらない方がいいよ。彼は自分にも他人にも厳しすぎる。残酷なまでにね。普通の人間ではとても彼の気性には耐えられない」


「わ、分かりました……」




 言われなくてももう二度と関わることはないさ。




「あの、僕はもう行きます。ご忠告ありがとうございました」




 言って、オレはその場を立ち去ろうと歩き出した。


 しかしすぐに立ち止まり、振り返って尋ねる。




「あの、僕は月島ルイトって言います。あなたは?」



 なんとなく、名前を聞いた。




「四条キリヤ」




 美形男は優しく微笑んだ。




「またいつでもここに来て。なんだか、君とは仲良くなれそうな気がするよ」




 その顔はとても穏やかで––綺麗だった。










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