第99話 アキ再び
誤字報告感謝です!
早速適用しました。
ボクたちの部屋には喫茶店のようなスペース、専用サロンも併設されている。
さらにはトイレもあるし、専用の化粧室も衣装倉庫も併設されているのだ。
まぁこれだけ大きい部屋なら当然なのかもしれない。
これらの付属施設は、入り口横にある通路から進むことで行くことができるようだ。
「もしかして、フェアリーノーム全員ここに来る予定だったりしますか?」
ちょっと気になったので聞いてみる。
「当番の者以外はここに来ると思います。私たちはなんだかんだで集まることが多いですから」
ミレは当然のようにそう言う。
でも、街では個別の家があったような気がするのだけど……。
「アンカルの街には家が多かったですよね?」
カラフルな木組みの家と石造りの家が立ち並ぶ、ちょっとメルヘンチックな世界。
それが彼女たちの街だったはずだ。
「そうですね。個別に住むときはそういう風にしています。この世界でも同じになると思いますよ? ただそれはそれとして、集まって寝るのが好きな子も多いというだけです。定期的にお泊り会のようなイベントも開催されますしね」
「へぇ~」
「お泊り会!!」
瑞葉もお泊り会には興味津々な様子だ。
生まれたばかりの瑞葉も、これからたくさんお泊り会をすることになるだろうけど。
「あと、ご主人と寝ることで力の補給もできるんですよ?」
「ご主人様から流れ込む力が多いので、私たちも今までより、強い力を使うことができるようになっています」
「それに、マスターと寝るのは、楽しいです、から……」
どうやら思った以上にみんなに利点があるようだった。
まぁ邪険にするのもなんだし、好きに来てもらおうかな。
「と、とりあえずご案内します」
そう言ってシーラが靴を履いて通路へと出た。
通路とはいうもののトイレと倉庫以外は部屋が繋がっているようなものだ。
なので部屋数は多くない。
ほかの部屋はどうなっているのかというと、衣裳部屋には倉庫が併設されていた。
ここは一部異空間に繋がっているらしく、そこにいろんなものを置いているのだという。
「奥に扉が見えると思いますが、あの扉の横に別棟を併設する予定です。現在はメインの建物を作っているので手を付けられてはいません。将来的に今ある仮の図書室と衣裳部屋、倉庫はあちらに移設されることになっています」
図書室はそんなに大きいわけではない。
間仕切りした場所に本が置かれている棚が並べられているだけなのだ。
「トイレは少し大きめにしました。個室多めで独立した部屋になっています。喫茶室兼サロンは間仕切りの奥にある感じになります」
トイレは喫茶室兼サロンの横にあり、独立した部屋になっていた。
個室は6つあり、その横に別室の化粧室が併設されている。
「喫茶室のほうはドリンクや食事を楽しめます。部屋に併設してあるのでそこまで大きくはありません。食材は倉庫から持ってくる形ですね」
大きな一つの部屋に間仕切りされたりして色々な施設が用意されている。
気軽に行って気軽に帰れる、そんな場所を用意したようだった。
そんな喫茶室には、一人のこげ茶髪のフェアリーノームがボクたちを待っていた。
アキだ。
「主人、待っていました!」
アキは元気よくそう言った。
「喫茶室兼サロン及び厨房の支配はこのアキにお任せください!」
「期待しています」
「お願いします~」
威勢のいいアキに、ボクと瑞葉はそう言うしかなかった。
まぁアキは料理上手なので文句は一切ないのだけどね。
「でも、アキの声は初めて聴きました」
「あたしもしゃべる機会なんでほとんどなかったですからね。お話できてうれしいですよ?」
ニコニコしながらアキはそう語る。
アキはこげ茶色の髪をショートヘアにしてまとめていた。
目の色は黒く、きりっとした印象がありつつもかっこよくてかわいらしい印象も受ける、そんな女の子だ。
「アキはどうして料理が上手なんですか?」
言ってからこの質問はどうなんだろうと思った。
「長い年月生きていると暇になるんです。そんな中で料理を覚えてみたんですけど、これがなかなか奥が深くて……」
どうやらアキは料理に魅了されてしまったタイプのようだった。
「こんな姿なので雇ってくれる人はいないんですよ。なので、ちょいちょい味の再現をしてみたりして完成度を高めていったってわけです」
たしかに、10歳未満の子供を雇う料理屋はほとんどないかもしれない。
そう考えると、アキは大変な努力をしてきたんだなと思う。
「そういえば、ボクはノートパソコンを持ってきてるんですけど、料理動画を見ることもできるんですよ」
「動画って言うと地球でやってたあれですか?」
「あ、見たことあります?」
「はい、機械がたくさん置いてあるお店で少し」
どうやらフェアリーノームは電器屋にも行っていたようだ。
「なら後で見られるようにしておきますね。結構色々な国の料理も教えてくれるみたいなので」
動画サイトはすごいと思う。
「ぜ、ぜひお願いします!!」
「あ、は、はい。わ、わかりました」
嬉しさが限界突破したのか、ゼロ距離近くまでボクに顔を寄せてくるアキ。
ちょっと驚いてしまった。
「じゃああとで見られるようにしておきますね」
「お願いします!」
さて、ネットは通じるのだろうか?
とりあえずやってみないことにはわからないよね。
これでアキのレパートリーがさらに増えるなら大歓迎だ。
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