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第98話 お部屋の中の高価な毛皮

 インフラもまともに育ってない異世界にてプールに入り、プールサイドで軽食を食べる。

 なんという無駄、そしてなんという贅沢か。

 みんなのおかげとはいえ、こんなことができて何気に幸せです。

 本当にありがとうございます。


 今ボクたちが使っている机やテーブルはアンカルの街から運び込まれたものがほとんどだが、一部は僕と一緒に日本から来たものもある。

 ちなみに、アンカルにある地球製品はミレたちがこっそり買い集めているもののようで、どこかで見たことのある製品が多く並んでいたりする。


 それもあってか、ずいぶん快適な休憩をとることができた。


「ご主人様、飲み物はどうしますか?」

 ちょうど一息ついていたところで、ミナがやってきた。


「おすすめでお願いします」

「はい。では、レモネードに致しますね」

 ミナはそう言うと、一礼してボクのそばから離れていく。

 それから少しして、ミナはレモネードの入ったグラスをトレーの上に載せて戻ってきた。


「お待たせしました。少し甘さを強くしてあります」

「ありがとうございます」

 ミナはボクにそう言うと、そばで待機するのだった。

 

 それから少し飲んで横を見ると、まだミナはそこにいた。

 どうやらずっとそばで待機することにしたようだ。


「ミナは泳がないんですか?」

 ボクがそう問いかけると、ミナは少し恥ずかしそうに言った。


「私、泳ぐの苦手なんです。ミカちゃんとかは得意なんですけど、私はどうもそのあたりが不器用なようでして……。泳げないというわけではないですけど、泳いでも短距離程度です」

 なんと、ミナはあまり泳げないらしい。

 てっきりフェアリーノームは泳ぎが得意なのだと思っていた。

 さっき見たときは泳いでいたけど、そうか、苦手なのか。


「あ、でも、浮き輪で浮かぶのは得意です。ご主人様の世界の浮き輪、いいですよね~」

「空気を入れて乗るボートとかもあるんですよ? 知ってましたか?」

「えっ!? そうなんですか!?」

 プールとかでよく浮かんでいるビニール製のボートの話をすると、ミナが驚いたような顔をした。

 どうやら存在を知らなかったようだ。


「軽めのものと重めのものがあるんですけど、重めのもののほうが安定性が高いんです」

 小さくて軽いものは結構転覆するので、できれば大きめで重いもののほうがいい。

 乗っていて楽しいし、少し遊ぶこともできるからだ。


「いいですね。楽しそうです」

「じゃあ今度買ってきますね。そうしたら一緒に乗りましょう」

「はい!!」

 ボクの提案に、ミナは笑顔で頷いた。

 

 あとで買うべきものをリストアップしておかなきゃなぁ。

 そういえばノートパソコンあったんだっけ。

 後でいじってみよう。


 それから暫くみんなで遊んだ後、ボクたちはプールから出て施設を見て回ることになった。

 2階に上がると客室とサロン、食堂などがあり、3階へ上がるとそれぞれの部屋が用意されていた。

 マルムさんとセリアさんの部屋は3階に、瑞歌さんとミリアムさんの部屋は4階に、ミレイさんとリディさんの部屋は5階に、瑞葉とボクの部屋は6階となった。

 

 フェアリーノームたちと従者の妖狐族たちは新入りを除いて5階と6階に散らばることになったが、新入りの元盗賊さんたちは4階に部屋が用意されることとなった。

 まぁフェアリーノームたちのほとんどは部屋関係ないらしく、6階に集まってくるわけなんだけど……。


「お母様、このお部屋広いですね」

「そ、そうですね……」

 6階にやってきたボクたちは部屋の広さに驚いていた。

 外の露天風呂も含めると、ちょっとした学校の小さめの体育館くらいありそうな大きさがある。

 そうでなくともクラス2つか3つか、まぁとにかくそのくらいの大きさがあるのだ。

 

 部屋の入口には靴入れがあり、そこで靴を脱ぐことになる。

 日本ではおなじみの光景だ。

 部屋の床はふかふかした白い毛のようなものに覆われていて、まるでカーペットのようになっていた。


「お母様、ふかふかです!」

 ボクより少し小さな足で、ふかふかの床を踏みしめる瑞葉。

 すごく楽しそうにし、ついにはごろんと寝転がってしまった。

 そしてそのままごろごろと転がって、ボクの足に抱き着いてきたのだ。

 うん、可愛らしい。


「えへへ。お母様、気持ちいいです」

 瑞葉はご満悦の様子。


「一番ふわふわの毛をもつジャイアントスノーラビットという種の毛を使いました」

 ボクの隣にいたミレが、毛の正体を教えてくれた。

 ジャイアントスノーラビットってどんなウサギなんだろう?


「ウサギってことですよね?」

「はい。アンカルの街から1か月ほど行った雪原に住んでいる、大きな兎の獣です。気性が荒く、すぐに攻撃してくることで有名なんです」

「へぇ~」

「その毛は非常に柔らかく手触りがいいのです。売れば相当な値段になるでしょう」

「えぇ!?」

 ミレの言葉を聞いてボクは驚いた。

 そんな高そうなものを使ったなんて……。


「み、ミレ。大丈夫なんですか? そんな高いものを……」

「えぇ、問題ありません。たくさんいますし、それに私たちはどちらかというとお肉のほうが大事でしたので」

「あ、そうなんですね」

 どうやらミレたちは高価な毛皮よりもお肉のほうが大切だったようだ。

 食いしん坊さんめ。

お読みいただきありがとうございます!

ブックマークや評価ありがとうございます。


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