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第88話 盗賊のアジトと変質した古代遺跡

美少女TSおじさん誕生

 一頻りミレたちに撫でられた後、ボクは新たな妖狐族の教育を千早さんにお願いすることにする。

 なんだったら新世界にいる10人の妖狐族に任せてもいいかもしれない。


「しかしこの子たちはボクが生み出した妖狐族になるのか……。中身はおじさんだけど」

 とはいえ、本人たちは状況が呑み込めていないようで、目をぱちくりさせている。


「瑞歌さん、浄化した魂の性格とかってどうなるんですか?」

 意志はあるようだけど、反応が少し薄いのが気になる。


「前世の記憶はある程度保持していますけど、基本的には新しい人格ですわ。今は生まれたてなので馴染めていないと思いますわ」

「ふーむ……」

 ということはある程度おじさん時代の記憶はあるということか。

 妖狐族になったんだから今後は繁栄してもらいたいものだけど、すぐには難しいかな?


「あ、男の子も作ってもらえばよかったですね」

 今更ながら気が付いたが、やってしまったものは仕方ない。


「主。言いにくいのですが、私が今保管している素体は全員女の子なのです……」

「おう……」

 どうやら選択肢はなかったようだ。

 図らずしもボクと同じ境遇となったこの子たちには頑張ってもらおうと思う。


「さて、あとでこの子たちに名前を付けないとですね。10人か……」

 生き残って連れてこられたおじさんは10人。

 うち10人が女の子として転生した。

 おじさんたちは消滅してしまったのだ。


「千早さん、新世界の子たちと一緒にこの子たちの教育お願いします」

「はい、遥様。可愛らしい子たちができたので、私も嬉しいです。立派な妖狐族に育てて見せますね!」

 千早さんはやる気満々なようだ。

 

「魂の転生、初めて見ました。あぁ、ここに来てよかった……」

 ミレイさんはまだだめなようだった。

 似たようなことは今後もあると思うんだけどなぁ……。


「今後死んで間もない魂だったら転生させてみるのもいいかもしれませんね」

 北欧神話の戦乙女か何かのようなことをやっている気がするけど気にしないことにしよう。


「ゴブリンたちの魂も回収完了。盗賊の転生完了。殲滅完了。お宝回収完了。あとは痕跡を追って盗賊のアジトへ行きましょうか」

 早速ゴブリンの痕跡を辿って集落跡とは逆の方向へと向かうことにした。


 痕跡は森の中をまっすぐに突き進み、やがては森の外へと出ていた。

 つまり盗賊たちは森の外にアジトを持っていたことになる。

 しばらく歩いていると、痕跡は不審な穴に続いているのが見えた。

 どうやら自然に落ち込んだ地形か何かを利用しているらしく、梯子が掛けられているのが見えた。


「深いですね。それに臭います。腐ってるのかな?」

「自然の洞窟のようです。死体などは虫に食べられているのでしょう」

「平地に突然現れる穴とか、危ないったらありませんわ。でもなぜ穴が開いたのでしょう」

「降りてみますか?」

「ミレたちとミリアムさん、瑞歌さんははボクと一緒に降りてください。他の人は地上で待機です」

 ということでさっそくボクは下に降りることにした。

 自然の洞窟ということなら、ミリアムさんたちとミレたちのほうが適していると思ったからだ。


「【照らせ】」

 軽くそう言うと、粒子が集まり光の球が生まれる。

 光の球は周囲を驚くほど明るくてらし、周囲の暗闇を消し去った。


「人間の使う【ライト】の魔術に似ていますがこちらのほうが強力ですね」

「そうなんですか?」

 使ってるところを見たことがないのでどうなのかわからない。

 けど、ミリアムさんが言うならそうなのだろう。

 今度見る機会があったらほかの人に見せてもらおう。


 梯子を下りていくと土の層からやがて石の層へと変わっていくのが見えた。

 途中骨みたいなのや壺みたいなのが見えた気がするので、古代人の営みでもあったのだろうか?

 発掘調査してみたくなるなぁ。


「底ですか。石の洞窟ですね。うわっ、入り口遠い!!」

 たどり着いた場所は岩石洞窟のようだった。

 照らされた地面には散乱する土や松明などが残っていた。


「主。奥に何かあるようです」

「気を付けていきましょう」

 ボクが歩き出すと同時に、ミレが素早く先頭に立つ。

 ミカたちは後方に付き、周囲を警戒し始めた。


 洞窟の中にはつるはしや陶器製の瓶、縄の切れ端などが転がっていた。

 ところどころ無事な木箱や壊れた木箱などがあることから、ここを根城にしていたことが窺える。

 しばらく歩くと木製の小屋があったので中を見てみると、状態の悪い遺体がたくさん転がっていた。

 どうやらここが住まいだったようだ。

 入り口から奥へと行く。

 室内は結構な大きさがあったので、掘り進めたのだろう。

 

「木箱にはまだお宝がありますね。どこから持ってきたのか」

 周囲の死体には残留した魂はない。

 成仏したか何かしらの理由で消えたのだろう。


「成仏してください」

 遺体に手を合わせてから回収する。

 後程火葬するために必要な作業だった。


「お宝は回収していきましょう。それにしても本当に彼らはどこから……」

「主。妙な気配を感じます。濃い魔素の気配です」

「魔素溜まりですか?」

 ミリアムさんが何か感じ取ったようなので確認する。

 

「いえ、これは……」

 ミリアムさんが何か言いかけた時、ミカがボクの裾を引いた。


「どうしたの? ミカ」

 するとミカは口をパクパクさせながら文字を書いた板を見せてきた。


『魔素によって変質した古代遺跡です』

「変質した古代遺跡?」

「なるほど。そういうことですか」

「??」

 ミリアムさんたちは何か分かったようだ。


「つまり、ダンジョンです」

「あっ」

 ファンタジー世界のお約束でもあるダンジョンが生まれていたのだ。

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