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第78話 新世界開拓計画と妖狐族の驚きの生態

結婚人数は人それぞれですが、一夫多妻もあれば一妻多妻とうべきか、一人の女性が複数の女性となんていうパターンもあります。男女比ブレイカー

 ノートパソコン一式とソーラーパネルと蓄電池一式を携え、お母さんと一緒に新世界へと戻ってきた。

 周囲の人はボクが持っているものに興味津々な様子だったけど、触らないようにとだけ言って一旦空間収納へと収めておいた。

 元々の世界ではスキルなんて使えないので、こちらに戻ってきてからしか収納できなかったのだ。

 でも、地球では妖力は使えるみたいなんだけどね……。


「お母さん、地球では妖力が使えそうなんですけど、なんでですか?」

 ここはお母さんに聞いておくべきだろう。


「妖力自体は自然の力だからよ。【気】とかあるのを知っているかしら? あれと同じように妖種は元々、妖力を生み出すことができるの」

「魔力とは違うんですか?」

「魔力や魔素、マナ、エーテルといったものはそういう元素があって、それを加工吸収したりすることで得られているの。自身で生み出すことなんてできないわ」

「そうなんですか?」

 妖力は、ボクたち自身が生み出していたなんて全く知らなかった。

 だからどこの世界でも同じように使えるのか。


「神力や精霊力も、自身で生み出すことができるけど、ちょっと限定的なのよ。精霊は星に依存していたりするし、神力は信仰にも左右されてしまうから。宇宙空間には精霊が存在しないのは知っているかしら?」

「宇宙と精霊、ですか。イメージが湧きません」

 宇宙精霊とか確かに聞いたことがない。


「宇宙では精霊は生まれないの。まぁそれは妖種もなんだけど、妖種と精霊の違いは力を持ち越せるかどうかね」

「力の持越し、ですか?」

「そう。精霊は契約者がいればその契約者の力を利用して、ほかの世界でも精霊力の生産を行うんだけど、契約していないとほかの世界では精霊力を生み出せないのよ。その点、妖種であればどこであろうと妖力を生み出せるわ。たとえ地獄でもね?」

 なるほど、それでお婆様は理から外れても強くなれたのか。

 異空間でも、妖種は妖種として振舞えると考えると、なんだかすごいことのように思えた。


 そういえば、ミレたちフェアリーノームは過去は女神であったというようなことを言っていた気がする。

 もしかして、力を回復させる方法があれば、ミレたちももっと強くなるのでは?


「お母さん、ミレたちはもっと強くなりますか?」

 湧いた疑問をお母さんにぶつけてみた。


「えぇ。強くなるわよ」

 お母さんは短くそう答えた。


 ボクはその話を聞いて、気を利かせて離れて集まっているミレたち眷属を見ていた。

 彼女たちも何らかの恩恵を受けることになるのだろう。


「遥ちゃんが色んな風に力を使って信仰も集めれば、眷属はもっともっと強くなるわ。将来的に人間でも昇神するかもしれないわね」

 なんとなく、みんなの未来は明るそうに思えた。

 うん、ボクももっともっと頑張らなきゃ。


「これからのことなんですけど、お母さんの世界を少し参考にしてもいいですか?」

 いまいちイメージが掴めないので、手近なところを参考にしたい。


「それは構わないけど、あの世界はお母様の世界の引継ぎのようなものよ? お母様がいた時代がメインだったから」

 あの日本の古い風景は、お婆様の思い出なのだろう。

 そこにお母さんの手が加わっていろいろと入り混じった世界になったのかもしれない。


「古い日本もほしいですけど、現代・近未来も作りたいんです」

 正直、快適な生活のためにも近未来感が欲しいところ。

 それはもうファンタジー世界ではなくSF世界なのかもしれない。


「想像するのは大変よ? まぁ、お母さんに伝手はないけど、瑞歌ちゃんにはあるかもしれないわね」

「ほえ? なんでですか?」

 お母さんから意外な言葉が出て驚いた。

 どういうことだろう?


「wi-fiの件でも話したけど、瑞歌ちゃんたちのような理外の者なら、時空を超越しているはずよ。つまり、未来も過去も混在していると思うの。お母様はそういうのに興味はなさそうだけどね」

 なるほど、理から外れているからこそ可能性があるってことか。


「あとで確認してみます。それと、お母さんの部屋の件ですけど……」

「あとでいいところ見繕ってみるわね。そこに建ててくれればうれしいわ」

 お母さんはどうやら土地探しから始めるようだ。

 多分完全にこっちに住み着くつもりだろう。


「さ、そうそう。たまには妖都にも来なさい? 一応姫なんですから」

「あ、はい」

 そういえばそんな設定ありましたね?


「でもなんで姫なんですか?」

「お母さんの娘だからよ? 国家元首の子供だったらそうは言わないわね」

 国家元首でもない象徴的存在のお母さん。

 その娘だから姫ということらしい。

 男のままだったら王子だったのか?

 疑問が尽きない……。


「まぁ遥ちゃんは女の子になってから妖狐族になっただけマシかもしれないわね」

「え? どうしてです?」

 どうして男の子よりマシと言われたのだろうか。


「三島玄斉、覚えているかしら?」

「はい。お世話になりました。お母さんの侍従長だとか?」

「そうよ。あの子の奥さん、何人いると思う?」

「えっと、普通に一人では?」

「残念。15人よ。なんでかわかるかしら?」

 15人の奥さんですと!?


「いえ、ちょっと……」

「妖狐族は男性が生まれにくい種族なの。女性と比べると1/10くらいにね。破綻してるといっても過言ではないわ」

「そ、それはすごいですね……」

 ということは、女性が溢れているということになるのか……。


「基本的に妖狐族は長寿だから気にしないのだけど、それでもそれくらいの男女差があるから、どうしても一夫多妻にせざるを得ないのよ。だから女の子でよかったという話になったわけ。まぁ同族男性ととなると、ハードルがすごく上がることになっちゃうけどね」

 妖狐族、恐るべし……。

お読みいただきありがとうございます!

ブックマークや評価ありがとうございます。


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