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神様になったTS妖狐はのんびり生活したい~もふもふ妖狐になった新人神様は美少女となって便利な生活のため異世界と日本を往復する~  作者: Jまる


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第58話 新世界での役割分担

新世界の方が若干賑やか。

遠慮しなくていい分派手に行きます。

 今までいた異世界とは違い、この新世界の建築作業風景は実に賑やかだった。

 向こうではフェアリーノームが会話することはないけど、こっちではみんながちょっとしたことで会話するのでとても賑やかなのだ。

 具体的に言うと……。


「木材伐採班作業完了しました」

「乾燥させるものは乾燥させておいてください。それ以外で足りないものはアンカルから取り寄せてください」

「遥様がお望みの機械類はどうしましょう」

「そちらは後程遥様に通路を繋げてもらってからにしましょう。それまではロッジと同じように作ります」

「地下掘削班、作業完了しました。土砂は現在保管中です」

「了解しました。空間拡張する場所以外は基礎工事を始めましょう」

「わかりました。さっそく基礎工事を始めます」

「班長、要望の中にさらなる地下施設があるのですが」

「基礎部分は何本か柱を立てるので、それを考慮して設計してください」

「わかりました~」

 と、このようにフェアリーノームたちは楽しく会話をしながら工事や開拓をしているのだ。

 多分向こうでも同じだったんじゃないだろうか。


「狩猟班、巨大イノシシを倒しました。遥様に献上します」

「はい、お疲れ様です。夜はみんなでバーベキューにしましょう。血抜きをお願いしますね」

「はい、ミレ様」

 そんなやり取りの後、ボクたちの目の前を通って2mほどの大きなイノシシが運ばれていく。

 もしかして主か何かなのだろうか?


「探索班、鉱脈を発見しました。あと遥様の影響を受けてか、元素結晶が生成されていました。巨大石英柱もあったのでフェアリーノームを増やすことが出来そうです」

「はい、お疲れ様です。石英は掘り出した後所定の加工手順で加工してください。後程主様から力を注いでもらいますので、その後は順次力を融合させてください」

「はい! となると、教育班が必要ですね。アンカルから回してもらいます」

「お願いします。フェアリーノームの居住区は主様が後程作られる神域エリアに設定します」

「了解しました!!」

 何かが始まればミレが指示を出し、何かが終わればミレに報告がいくようになっているようだ。

 ボクはそれを横で眺めながら、ミカたちの相手もしていた。


「ミカは何してるんですか?」

 簡易机の上で機材を並べて、ミカが何か実験をしている。

 その横では助手としてミナとシーラが手伝いをしていた。


「簡単な測定と試薬による実験です。まだこの世界の菌類などについては何も知らないので念のために」

 ボクが知らない間に何かを見つけたようだった。

 けど、病原菌とかの試験をするなら設備が足りないよね。


「アンカルだとどんなことやってたんですか?」

「向こうでは研究室を持っていますよ。日本見学に行った際に見た施設を参考にしましたね」

 どうやらミカは日本に行ったことがあるようだ。


「日本にもフェアリーノームっているんですか?」

 ちょっと気になるのがここ。

 前ミレに聞いたときは違うって言ってた気がするけど。


「日本にはいませんが、日本に行くことはありますね。私たちは空間を超える能力を持ってるので。小学生に混じったりして見学したりしていますよ」

 どうやら小学生に混じって行動しているようだ。

 もしかすると、気が付くと一人増えている系の話の犯人はフェアリーノームなんじゃないだろうか。


「ご主人、風の結晶お願いしていいです?」

「はーい。ちょっとまっててくださいね」

 ミカに頼まれたのでさっそく風を捕まえて凝縮する。

 なんとなく色がついていたほうがいいかなと思ったので、ライムグリーン色の結晶にした。


「はい。ミカどうぞ」

「ご主人ありがとう。あれ? 色が付いてる」

「ちょっとやってみたら付きました。分かりやすいかな?」

「十分です。ありがとう」

 ミカは嬉しそうに風の結晶を受け取ってくれた。

 そういえば、神格引継ぎしてから少し作りやすくなったかも……。


 ということで、さっそくボクの試作石槍を妖精銀に置き換える作業を開始する。

【アイテムクリエイト】を使って【特殊クリエイト】から素材を石材から妖精銀に変更する。

 鍛冶屋も涙目な早さで妖精銀の槍が完成してしまった。

 妖精銀の素材のあまりは保管しておこう。


「ミレ、石槌の素材というか物自体変更しちゃっていいですか?」

「変更ですか?」

「はい。妖精銀に変更するついでに斧にしてしまおうかと」

「斧!!」

 お? ミレさんの食いつきがいい。


「もしかしてミレ、斧好きです?」

「はい! 斧大好きです。投げてもいいし手で使ってもいい。最高ですよね。バトルアックスもいいですけどドワーフと被るのでどうしようかと。まぁハンドアックスもいいんですけど……」

 斧の話題になった途端、ミレが早口でしゃべりだしてしまった。

 これはまずい……。


「わー! ミレさんストップです! とりあえず石槌ください。変換しちゃいますので」

「こほん。すみません。はい、石槌です」

 ミレは軽く咳ばらいをするとボクの作った石槌を渡してくれた。


「ちゃっちゃっとやってしまいますね」

 受け取った石槌を素材に還元して持っている木材や革などを使って使いやすい妖精銀の斧を作る。

【研ぎ不要】と【鋭利】と【必中】と【自動帰還】を付与する。

 ちなみに【研ぎ不要】は妖精銀特有のものらしく、勝手に付与される。

【鋭利】と【必中】と【自動帰還】はボクが扱える力から素材を犠牲にして付与しているのだ。

 なので、また少し妖精銀の在庫が減ってしまうことになった。


「はい、ミレ。【研ぎ不要】と【鋭利】と【必中】と【自動帰還】が付いてるから今までよりもずっと扱いやすくなっていると思います」

「ふぁああああ、ありがとうございます主様!!」

 ミレは普段クールな感じなのに、嬉しいときはぴょんぴょん跳ねて喜ぶのでちょっと可愛らしいと思う。


「喜んでもらえてよかったです」

 ミレにそう伝えた後周りを見てみると、ほかの子たちも物欲しそうにボクのことを見つめていた


「あ、素材頂けたらやりますので、素材をお願いします」

 どのくらい必要になるかはわからないけど、素材さえあればどうにかなるのでたくさん集めてほしいところ。

 集まっていた人は全員素材を求めてあっちこっちへと散っていったのだった。

お読みいただきありがとうございます!

ブックマークや評価ありがとうございます。


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