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第37話 商業ギルドと巫女見習いの力

少しずつ冒険とスローライフを追加していきます(展開遅くて申し訳ないです

 懐が重い。

 財布の中身がいっぱい。

 ボク幸せ。

 8万クレム相当なんてなかなかいい稼ぎではないですかねぇ。


「うへへ。お金いっぱい。あそこの狼の皮はいいお値段になったなぁ」

 人間は入れないという森の奥。

 そこにいた毛並みのいい狼たちがこんなにいい値段になるとは本当に予想外だった。


「しばらくは独占できるかなぁ。あ、でも生態系もあるから狩りすぎは良くないよね」

 ボクの話を聞いていたミレたちがコクンと頷く。

 となると、生態系を維持しつつ質のいい毛皮を得る方法を考えないとだめかなぁ。


「あ、そうだ。調味料ってなんかないのかな? 商業ギルド行ってみようかな」

 さっそくミレたちの手を引きながら商業ギルドの建物へと入っていった。

 まぁ猟師ギルドのすぐ隣なんですけど。


「いらっしゃいませ。商業ギルドへようこそ。あら? アーサーさんのとこの……」

「あ、は、遥、です」

「ふふ、いらっしゃいませ。本日はどうなさいましたか?」

 そこにいたのはいつぞやの美人の受付嬢さんだった。


「あ、えっと、何か面白い調味料の話とか知らないかなと思いまして。この村、塩味くらいしかないじゃないですか……」

 下手すれば塩味すらない茹で肉を出されかねないわけで、どうにかこうにかして味のバリエーションを増やしたい。


「そうですね。香辛料はこの村だとほとんどないですね。あ、でもハーブ類ならありますよ。ジュニパー、クレソン、オレガノ、サフラン、パセリ、ローレル、タイム、セロリが一般的でしょうか」

 地球でもヨーロッパで採集されるタイプのハーブがメインなのかな?

 ブーケガルニくらいは作れそうな気がする。


「売るとなると、どのくらいの値段になります?」

 ボクの質問を聞いて受付嬢さんは何やら紙を取り出して確認する。


「そうですね。今ですと、場所によりますけど300クレムから500クレムで販売されていますね。この村でも比較的採集されるものもあるので、他よりは高くはなりづらいと思います。まぁサフランは例外ですけど」

「わかりました。とりあえずタイムとクレソンと、セロリ、パセリ、オレガノ、ローレルを一袋ずつお願いしていいですか?」

「はい。小袋中袋大袋とありますが」

「とりあえず小袋でお願いします……。とりあえず10000クレム以内で」

「かしこまりました」

 ボクは受付嬢さんに銀貨を1枚手渡した。


「お待たせしました。できるだけ均等になるように入れてあります」

 受付嬢さんから小袋を受け取ると、「ありがとう、ございます」とお礼を言う。


「もし商業ギルドに売れるものがありましたら、いつでもお持ちください。猟師ギルドでは買い取れないものも買い取れますので」

「はい。ありがとう、ございます」

 これで少しは味が増えるかもしれない。


 ボクたちは買い物を終えてギルドの外へ出る。

 外はまだまだ日が高く、しばらくは暗くなりそうにもない。

 天気も良いし気温も上々。


「ミレ、ミカ、ミナ。狩りしながら帰る?」

 ミレたちに問いかけると、コクリと頷いたので狩りをしながら帰ることにした。



 ◇


 現拠点のロッジ前を中心に、狼狩りをしていく。

 大型できれいな毛並みの狼が多く、またもやいい稼ぎになりそうな予感がする。


「そりゃ!」

「キャウン」

「どりゃー!」

「ギャウン」

 石槍を投げつけて頭に当てていくだけの簡単なお仕事だ。

 まぁ外れることはない上に当たればほぼ確殺なので狼狩りは楽かもしれない。


 ふとミレたちのほうを見ると、戻ってくる石槌で頭を潰したり、手斧で踊りかかったりして狼を倒していっている。

 体のほうの毛皮には傷がついていないのはさすがだと思う。


 ミカはミカで杖を取り出して魔法で狼を攻撃している。

 すごい音を出す大きな風の刃が回転のこぎりのように水平に飛び、狼を切り裂いていく。

 なんだかすごい威力があって、ちょっと怖い。


 ミナはミナで弓を取り出して的確に眉間を射抜いている。

 その姿は完全にスナイパーのそれだ。

 さらにミナは接近されればされたでナイフを抜いて襲い掛かるというとてもアグレッシブな攻撃の仕方をしていた。

 普段は優しくて可愛い看護師さんの裏の顔を見た気分になり、なんだか少し辛くなってしまった。


「あ、遥様。狩りですか?」

 ロッジ周辺で狩りをしていたせいか、気になった千早さんが様子を見に来たようだ。

 一見戦えなさそうなイメージがあるので、来たら危ないんじゃないかと思うけど、どうなんだろう?


「あ、その顔、戦えないと思ってますね? いいでしょう、見ていてください。ミレさんたち、獲物の誘引お願いします」

 千早さんのお願いを聞いたミレが狼を釣りに行く。

 あとは待つだけというところか。


「千早さんは、どんな攻撃をするんですか?」

 巫女見習いっていうのがよくわからないので、気になって仕方ない。

 具体的にどんなことをするんだろうか。


「周りや契約者を強化したり、加護を得た方の力を下ろしたりですね。まずは一頭来たようなのでやってみましょうか」

 千早さんはそう言うとミレの釣ってきた大ぶりの狼を見て、いつの間にか持っていた錫杖で地面を軽く突いた。

 すると、狼の頭に向けて鋭い土の槍が地面から飛び出して、狼の頭を串刺しにした。

 

「ちょ!? こわっ!?」

 突然の出来事に驚くボクとミレたち。

 予想外の攻撃方法だった。


「私はまだまだですけど、踊りでも術を使うことができます。あとは加護から引き出すということも。そうだ、私ってまだ誰の眷属でもないんです。遥様の眷属にしてくださいませんか?」

「え、そんなに簡単に決めていいんですか?」

 突然そんなことを言い出したものだから、確認も兼ねて問い返してみた。


「はい。遥様でしたら問題ございません。お願いします」

「あ、はい。わ、わかりました……」

 千早さんがいいというのでやるだけやってみようと思う。

 まぁボクとしても眷属が増えるのは大歓迎。


 地面の上で跪く千早さんのおでこに手のひらを向けて念じながら呟く。

(千早に加護を授ける)


 すると、一瞬お互いの間が光ったかと思うと、光の残滓が千早さんへと吸い込まれていった。


「ありがとうございます。これで私は遥様の眷属です。というわけで遥様が授かった力の一部を私も使えるようになりました。ミレさんたち、もう一頭お願いできますか?」

 千早さんのお願いに応えてミレが狼を釣りに行く。


 しばらくして一頭の狼を釣ってきたミレが戻ってきた。


「見ていてください。貫け」

 千早さんがそう言うと、狼の影が狼を貫いた。

 それは、ボクが途中で手に入れた影を操る力だった。


「えぇ!? ちょ、すごい!?」

「どうですか。これが眷属となった巫女見習いの力です」

 千早さんは嬉しそうにそう言うと、胸を張った。


「うん。これは、すごいです!」

 ボクは惜しみのない拍手を千早さんに送った。

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