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第168話 各結晶でエネルギーを生み出そう

 結果から言うと元空中戦艦だったといわれる結晶体の中のコアクリスタルは無事だった。

 エネルギーこそなくなってはいたものの、チャージすることで再び使えるようになるだろう。

 というわけでボクたちは一旦封印した後、新世界へと戻ってきたのだった。


「では、新規マザークリスタル制作を始めていきたいと思います」

 

 というわけで早速システムの基準となるマザークリスタルを作っていこうと思う。

 言うほど簡単ではないと思うけど、材料がないわけではないのだ。


「ふむ。あのシステムはエネルギーの循環システムでしてな。無限に近いほど余りある理外からエネルギーを直接抽出して利用していたのですよ。材料は理外に存在しているクリスタルなので相性も抜群でしたな」

 

 と、教授が嬉々としてマザークリスタルについての解説をしてくれていた。

 教授って技術について語っているとき、終始笑顔なんだよね。

 骨だけど。


「それでどのような素材を利用するおつもりですかな?」

「うーん。陽光結晶と月光結晶、星光結晶の3つを使って作ろうかなと思っているのですが」


 教授の思い描くスペックに足るかは不明だけど、今用意できそうな適切な素材はこれくらいだと思う。

 うまくすれば光だけでエネルギーを得続けられるかもしれないし。

 

「ずいぶん思い切りましたな。これ単体でも十分賄えるでしょうに」

「そう、ですかね? 実は最近知ったんですけど、この3つを組み合わせるとネブラクリスタルってのができるんですよ」

「な、なんですと!?」

 

 最近発見したことを教授に話すと、面白いほど食いついた。

 我ながらびっくりだ。


「どうも調べた感じ、宇宙に存在する星雲を構成する要素と同じらしくてですね、その力が凝縮されたらしいのです」

 

 星光の中には当然銀河群や星雲群からの光も存在している。

 そのためか、このネブラクリスタルには非常に強力な力が込められている様子だ。

 とりあえずこれを利用して、新世界の街のエネルギー需要を満たしてみようと思う。

 さぁ、実験実験。


 というわけでさっそく別の空間を用意してそこでエネルギーを発生させてみる。

 マザークリスタルにしてエネルギーを供給する前に性能を見ておく必要があるからだ。

 レッツゴー!


「では、いきますぞ」

「お願いします」


 教授の用意したエネルギー供給装置。

 これにネブラクリスタルを設置してエネルギーを引き出すのだ。

 ちなみに出力先はエネルギー計測装置とエネルギー保存クリスタルだ。

 この2つも教授が用意したものなので、なんだかんだ言っておんぶにだっこ状態になっている。

 申し訳ないけどお願いします。


 ネブラクリスタル自体は小さめの結晶体だ。

 これ1つでどのくらいのエネルギーを秘めているのかをこれから実験で確かめるわけなんだけど、エネルギーが溢れたら何が起こるかわからない。

 なので別の空間を用意して安全に実験を行おうとしているんです。

 ちなみに、この実験空間を作るエネルギーを賄ったのも実はこのネブラクリスタルだったりします。

 なので実質、限定的な空間を作って維持するだけのエネルギーがあることはわかっているというわけ。


 教授が抽出装置を起動するとヴォンというとても低い音が響いた。

 するとネブラクリスタルの内部の中心で何やらもやもやしたものが広がったり収縮したりを繰り返している。

 もやもやしたものが広がるとエネルギーが生成され、稼働停止すると徐々に収縮していく。

 どうやら稼働停止させると収縮状態になるようだ。


「おぉ、すごいエネルギーの生成率ですぞ! 稼働から1分もかからずに計測装置がエラーを起こしましたな! このまま稼働させるのは危険なので一旦停止しますぞ」

「すごいですね……。あっという間です」


 ネブラクリスタルはたった1分の起動ですら膨大なエネルギーを生成させていた。

 長時間連続稼働させるには、装置が耐えられないことが示された形となってしまったのだ。

 う~ん、こうなると技術開発が必要ということになるのかぁ。


「この結果は持ち帰って研究させていただきますぞ。当面は次に実験します、3つの結晶でやっていくとしますかな」

「そうですね。このままではオーバーフローしてしまいますから。じゃあ早速陽光結晶から行きましょうか」


 こうして各結晶でエネルギー生成実験を始めることになった。

 陽光結晶は所謂恒星の光を結晶化したものだ。

 近しいところでは夜にだけ輝く星光もそうだし、太陽光を反射する月光も同じものと言えた。

 ただこの陽光結晶、エネルギーを生み出すのはどうやら太陽が出ている時間帯だけのようだ。

 もし同じ条件なら、夜は星光結晶や月光結晶が活躍することだろう。


「陽光結晶は比較的安定していますな。太陽が出ている時間帯であれば十分な出力を生むはずですじゃ」


 陽光結晶はフゥンという軽い音と共にエネルギーを生み出し続けている。

 ちなみに星光結晶はリーンという鈴が鳴るような音を出し、月光結晶はフィーンというやや甲高い音を出してエネルギーを生み出しているようだ。

 まぁ現在は太陽の時間なので星光結晶も月光結晶も出力は弱いのだけど……。


「当面はこの3つを組み合わせますかのぅ」

「ですね」


 ともかく、エネルギー生成の目途はどうにか立ちそうだった。

お読みいただきありがとうございます!

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