第103話 妖狐族の侍女に得意なことを聞きました②
さて、次に話を聞く人だが、三島楓さんにしようと思う。
楓さんは現在おいしそうにデザートを食べているのだが、脳筋っぽい発言のわりに行動がかわいらしいのでギャップ萌えできる。
「楓さん、お得意なことは何ですか?」
ちょっと切り口を変えてみよう。
「お、遥様! オレが得意なのは格闘戦だなぁ。重量武器も好きだぞ? 斧とか良いよなぁ」
うん、やっぱり脳筋だった。
見た目は可愛いのに脳筋というのが何とも言えないポイントのような気がする。
「楓さんって本当に強そうですよね」
どのくらい強いのだろうか?
「そうは言っても、鬼族と引き分ける程度だからそこまででもないと思うぜ。やっぱあいつらつえーわ」
「なんと」
鬼族の強さはまだよくわからないものの、強そうな楓さんと引き分ける時点で弱いわけがないと思う。
ということは、それ以上の強さなのか……。
鬼族の移住もお願いしてみようかなぁ。
「ところでさっきから思ってたんですけど、咲奈さんって楓さんのこと大好きですよね」
「な、そ、そんなわけないでしょう!?」
なんとなく思ったことを咲奈さんに言ってみたところ、ツンデレのような返答が返ってきた。
なんだかおもしろい。
「咲奈ちゃんはお姉ちゃん大好きなので」
「そうなんですか? 愛さん」
ボクが微笑ましく思っていると愛さんが話に入ってきた。
「そういえば愛さんって短剣もってますよね?」
愛さんはいつも腰に短剣を下げている気がする。
「短剣好きなんですよね~。投げたり刺したり捌いたりいろいろできますし?」
ボクよりは大きいものの比較的近い身長である愛さんだが、ボクよりも幼いような印象を受けることがある。
1つ1つの仕草が可愛らしいというのもあるだろう。
でもたぶん計算しているような気がするので素直に可愛いといえないのが悔しい。
「素早く行動したり忍び寄るほうが得意だったりしますか?」
なんとなくシーフや隠密のようなタイプなのかな? と思い聞いてみることに。
「隠密は好きですよ? 職業に忍者があれば忍者でもよかったかもしれませんね~【忍者アイドル】とか良くないですか?」
可愛らしい系である愛さんなのでなんとなく似合いそうではある。
けど、腹黒そうな雰囲気の忍者アイドルになるかもしれないと思うと、ちょっと怖いかな。
「そ、そうですね? さて、千秋さん、夏奈さん~。ちょっと教えてください」
ボクは千秋さんと夏奈さんの白辻姉妹を見つけると、そそくさとその場を後にしたのだった。
「おぉ? 遥様。わらわになんぞ用かのぅ?」
なんとか愛さんからうまく逃げ出してきたボクは、千秋さんの前にやってきた。
千秋さんはボクを見ると、不思議そうな顔をしていた。
「いえ、ちょっと得意なことについて聞こうかと思っていたのですが……」
千秋さんはボクよりは身長が高く、愛さんに近い身長なのだが、妹の夏奈さんと比べると夏奈さんのほうが大きいという特徴がある。
たぶん夏奈さんは150cmちかくあるんじゃないだろうか?
まぁボクから見た感じなのだが……。
「おねえはあまり力が強くないんですよね」
「大丈夫じゃといっておろうが。わらわの得意武器は錫杖なのじゃ。打撃系は棒術をメインにしておる。それ以外じゃと妖術や魔法などの攻撃が得意じゃな」
そう言い終わると、千秋さんはえへんと胸を張った。
だが残念なことに、胸に起伏はないので何も主張することはなかった。
「ちなみにおねえは特性を入れ替えてもあまり近接は得意じゃないんですよね。私と違って」
「なあにをおおお!? お主こそ、魔法ばかりじゃろうに」
「へっへ~ん。魔力剣とか魔力を使った武器も扱えるからもっと上ですよ~だ」
「ええい、この、またぬか!」
「きゃー」
そういうと、千秋さんは逃げる夏奈さんを追って走って行ってしまった。
どうやら追いかける体力はあるようだ。
……と思っていたのだが、少ししたら疲れたのか座り込んでしまっていた。
千秋さんは体力関連はだめっと。
ボクはしっかり記憶した。
「さて、次は鈴さんですか。ってひゃっ!?」
「遥様、鈴のこと呼んだ~?」
「あ、なんだ、鈴さんか。えっと、鈴さんの得意なことを聞こうかと思いまして」
突然何かにお尻を触られてびっくりしたが、犯人は鈴さんだった。
いつのまにボクのお尻まで迫っていたのだろうか。
「鈴は盾が得意。ば~んとかが~んとかどご~んとか」
得意そうにそう言う鈴さんだが、全部擬音である。
多分叩いたり弾き飛ばしたり守ったりしているのだろう。
「す、すごいですね」
「ん、すごい。ご褒美」
「えぇ!?」
なぜかそう言って鈴さんは頭を出してきた。
撫でればいいのだろうか……?
「ええっと、よく頑張りました?」
よくわからないまま鈴さんの頭を撫でる。
「ん。がんばった」
言葉数は少ないが、どうやらご満悦の様子。
まぁいいならいいか。
「今後もお願いしますね」
「ん。わかった。その時はもっとすごいご褒美を要求する」
「えー」
そう言った鈴さんは、妖艶な表情でほほ笑んでいた。
いったいどんなご褒美を要求されるのだろうか?
なんだか怖いよ?
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