第102話 妖狐族の侍女に得意なことを聞きました①
ワイワイ楽しくお茶をしている妖狐族の彼女たちと話していると、なかなか濃いメンバーが集まっている様に思った。
なのでさっそくみんなの得意なことは何か聞いてみることにした。
「桐生さんは何か得意な武器とかありますか?」
まずは普通に聞くのが無難だろうか?
「ちょっとまってください、遥様。桐生さんなんて呼ばずに下の名前でお願いします」
「えぇ? し、下ですか?」
「はい。か・り・んです。りぴーとあふたーみー」
「なんで英語……。ええっと、果林さん……」
「はい、よくできました! 英語はですね、銃の扱い方を学ぶために覚えました。得意武器は銃ですね。ちなみに作ることもできますよ?」
「なんと!?」
銃にあこがれはあるものの、ボク自身触ったことなどなかった。
ちょっと羨ましいけど、作れるのはすごいなぁ……。
「みなさん、魔法とか妖術とかはどうなんですか?」
銃のことは一旦置いといて、術関連はどうなんだろう。
「妖術基礎は誰でもできますし、上級魔法も大抵使えるはずです。妖狐族はそういう部分の親和性が高いですから。まぁ術関連はなんだかんだいって天狗族のほうが上なんですけど……。私たちはバランスタイプ、ですかね?」
「へぇ~、そうなんですね」
やはり色々な妖種が存在しているらしい。
天狗族か、今度会ってみたいなぁ。
「ええっと、三葉……」
「こほん」
「あ、彩芽さんは得意な武器はありますか?」
「ふふ、よくできました遥様。私は弓が得意ですね」
「弓、ですか?」
「えぇ。まぁ胸は大きいですけど、工夫してどうにかしています。トビトカゲくらいなら簡単に落とせますよ?」
「へぇ~、そうなんですね。た、たしかに、胸は大きいですけど……」
Eくらいあるのではないだろうか?
服の上からでも大きさがわかるのがすごい……。
「侍女の皆さんは職業を切り替えることができると聞きましたけど」
「そうですね。ゲームで言うジョブチェンジみたいなものはできますね。特性の入れ替えとでも言いましょうか。私の場合、弓が一番得意ですが剣もできます。一般的にはどちらも使えるというべきなんでしょうけど、私たちはその武器や特性に合わせてスキル構成を変更したり、最適化したりできるんです。侍女であるがゆえに苦手なままではいけませんので、苦手なものを得意にするために覚えた技とでも思っていただければいいと思います。ちなみに侍女専用ということで、若葉様に伝授していただきました」
「ふむふむ、なるほど」
どうやら彼女たちはある程度どんな武器でも使えるように教え込まれているらしい。
たぶん武器に合わせてスイッチを切り替えていく形なのだろう。
まるでゲームの勇者のシステムか何かのようだ。
「んん? 彩芽さん、ちょっと聞いてもいいですか?」
「どうしました?」
「いえ。この世界には勇者が現れることがあると聞きました。勇者って誰が選んでるかご存じですか?」
そもそも勇者自体よくわかっていないのだ。
「勇者の選定は昔から若葉様が任されていると聞いています。もしかしたら遥様も研修することになるかもしれませんね」
「そ、そうなんですか?」
「はい」
みんながいくつなのかは知らないが、ボクよりお母さんのことを知っているようだ。
うへぇ、ボクもそのうち召喚とかさせられるんだろうか?
それは嫌だなぁ……。
「あ、そういえば特性を変更できる話ですけど、もしかして勇者が使えてたりしませんか?」
ボクはなんとなく抱いていた疑問を口にした。
「はい、その通りです。よくわかりましたね?」
偉い偉いと言わんばかりに、彩芽さんに頭を撫でられてしまった。
どうやら勇者関連のものを彼女たちは教えられているらしい。
「あ、そ、そういえば、次を聞かないといけないんでした。えっと、雫さん」
「はい。クロスボウが一番得意です。ついでに魔法も大好きです」
「あ、ありがとうございます」
雫さんは物静かな人のようだ。
聞きたいことをあっという間に教えられてしまった。
「雫さんは何かやりたいこととかありますか?」
ついでなので何かないか聞いてみよう。
「遥様の身体を洗いたいです」
「え?」
「お風呂、楽しみにしています」
「あ、はい……」
なんだか軽く流されてしまった気がする。
なんでやりたいことを聞かれて、身体を洗うことがでてくるのだろうか。
何とも不思議な人だ。
「ええっと、次は早苗さんですね」
「わたくしは剣が一番得意ですね。あとは回復や手当なども得意です」
「なんだかゲームでいうところの神殿騎士さんとかそんな感じですね」
なんとなくそんなことを思ってしまった。
「ゲームについてはわかりませんけど、守ることに特化しているのは鈴さんですね。私はどちらかというと攻撃重視ですから」
なるほど、早苗さんは自己回復型のアタッカーなのか。
「ありがとうございます。ええっと、鈴さんは……。あ、寝てますね。あとにしましょうか」
ついでなので鈴さんに話を聞きたかったのだが、鈴さんはマイペースなようで突っ伏して寝ていた。
仕方ないので後で話を聞くことにしよう。
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