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第8話 【思い出の剣】




 ダンボールの中には、プレザントから持ち帰ったアイテムが全て収められています。中には危険な物も混じっているので、咲楽は両親にバレないように隠していました。


「また袖を通す日が来てしまいました…」


 まず咲楽は防具を取り出します。


 長いマフラーに厚手のコート。

 その衣装はプレザントに生息する魔物の素材で作られています。地球の衣類のようなオシャレな飾り気がなく、機能性と耐久性を重視されて作られた冒険のための装備。この旅でも欠かせない頼もしい防具です。


「それと…これ」


 次に咲楽は短剣を取り出します。

 これは冒険で使っていた物ではなくハルカナ王国の国王から頂いた国宝です。憎食み討伐を称えた贈呈品で、刃の素材は希少な鉱物であるミスリル製。とても貴重な逸品です。


「これなら私でも使えるかも」


 剣は小さめなので、非力な咲楽でも振り回せます。


「本当は憧れてたんですよね、剣と魔法の世界…」


 咲楽はRPGが大好きです。

 しかし実際にゲームの主人公と同じ目に遭えば、楽しむ余裕なんてありません。世界の危機を楽しめるのはゲームの傍観者だけであって当事者ではないのです。

 ですが今回は戦争も終結し、平和になった世界でみんなを楽しませることが目的の緩い旅。今回は楽しむ余裕があります。


「今なら剣でモンスターと戦えますかね?」


 これでも咲楽はハルカナ王国の騎士であり九人の英雄の一人、リア・アルフォスから直々に剣の指南を受けたことがあるのです。





「どうでしたリアくん!私の剣さばきは?」


「ああ…悪くは、ない…かな?」


「…やっぱりダメでした?」


「………………………サクラは魔法使いだから、無理して前に出なくてもいいんじゃないか?」


「そ、そんなにダメでした?」


「無様、哀れ…戦場で踊られても困る」

「ふはは!やはりサクラは面白いな!」

「武器に振り回される人、初めて見ました」

「サクラ、ヘタ」

「チキュウ人は不器用な種族なのですか?」

「この世に生まれなくてよかったな」

「むしろ危なっかしくて剣を持たせたくない…」


「…」





「…」


 咲楽は短剣をダンボールに戻しました。

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