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第50話 【ハルカナ王国】




 ハルカナ王国は戦争を生き抜くため構築された、三枚の城壁に囲まれる円形都市です。


 まず最初の門をくぐれば産業区に入ります。

 国内とは思えない広大な土地と自然が広がっており、ここで牧畜や農業などを行い物資などを蓄えています。外で手に入れた鉱物や木材なども大量に保管されている、まさに働く者のエリアとなっています。


 次の門をくぐれば、居住区となります。

 ハルカナ王国の人口は500万人を超え、このエリアではハルカナに暮らす全ての民たちが生活を営んでおります。冒険者や商人といったギルド活動などで市場が騒々しく賑わい活気に溢れています。


 最後の門をくぐればいよいよハルカナ王国の中心、王城と士官学校が合併された士官区に到着します。騎士や魔法使いを志す若者が生活する区ですが、貴族が生活をする貴族街でもあります。


 そんな街並みは咲楽が第一印象として「RPGに出てくる最初の城下町みたい」と評していました。




 地球に比べプレザントの歴史は浅いですが、文化水準は決して低くはありません。この世界で日常的に使われる精霊石は、自然の恵みである地水火風を自在にコントロールすることが出来ます。


 土の精霊石が大地に養分を蓄え、

 水の精霊石が自然を豊かにし、

 火の精霊石が人の生活に灯を与え、

 風の精霊石が健やかな空気を生み出します。


 精霊石による魔法を主軸に発展した文化は、環境を汚染することなく豊かな生活を営んでいます。これで人間同士が争っていなければ、咲楽にとって理想の異世界だったでしょう。





 入国の手続きを済ませ、咲楽たちは一枚目の防壁をくぐり産業区に到着しました。


「それではナスノさん、私はここで失礼しますね」


「え、どちらに向かうのですか?もうじき日が沈みますし、産業区に旅人が寝泊まりするような施設はほとんどありませんよ」


「大丈夫です、当てがありますので」


「…?」


 ここは産業をメインとしたエリアなので、寝泊まりする施設のほとんどは些末なものです。咲楽を貴族と勘違いしているナスノは心配していました。


(クロバさんに聞いたところ、まだキユハちゃんはこっちで暮らしてるんですよね)


 目的地であるキユハの研究室は、産業区にあるのです。

 まだキユハが英雄と呼ばれていなかった頃、魔法研究に没頭するキユハを危険視した国がキユハを居住区から遠ざけたのです。魔法が暴発しても被害の少ない産業区の隅、廃れた区間にキユハの研究所があります。


「サクラお姉ちゃん…行くの?」


 馬車の中から顔を出すアクリ。

 まだ外に出る元気はないようです。


「はい、ここでお別れですね」


「……あ、あの!」


「?」


「また、世界を旅した話…聞きに行ってもいい?」


「いいですよ♪」


「…!」


「でも、その疲労が治るまで安静にしてるんですよ」


「うん!約束だよ!」


 咲楽とアクリは再会の握手をします。

 その後、咲楽は拠点となる宿屋の目印が書かれた地図をアクリに渡しました。記憶がリセットしてしまったこの世界で、咲楽にとってアクリは数少ない知人です。ハルカナで活動していく中で心強い味方となるでしょう。


「ナスノさんとテオールさんも、ここまでありがとうございました」


 次に咲楽はここまで付いて来てくれた二人に頭を下げてお礼を言いました。


「困ったことがありましたら私の隊を頼ってくださいね」

「今後もよろしく頼むぞ」


「はい!それでは~」


 咲楽は持ってきた荷物を背負い馬車を後にします。


「さて…キユハちゃん、元気にしてるかな」


 友達との再会が待ち遠しいのでしょう、咲楽は速足でキユハの研究所に向かいました。

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