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第277話 【演奏会 本番】




 演奏会当日。


 世界樹の麓にある大広間。

 本来は戦争が起きる前に獣士隊が作戦会議を行う場なのですが、今回はここが演奏会の会場です。広間中央には簡易的な木製のステージが設置されていて、そこに数十種類の楽器が並べられています。


 観客席はそのステージを囲う木々の数々です。

 高低差のある木の上に建物を建てる森の都なので、準備しなくてもいくらでも来場者を向かい入れることができました。


 結果としてほぼ全ての国民たちが演奏会に惹かれて集まってしまったので、交通整理をする獣士隊のメンバーも大混乱です。


 そんな中で最初に話題となるのが来場限定の特別スカーフでした。


「巫女様お手製のスカーフ、ご自由に見て行ってくださーい」


 ただ罪を主張するだけの無地の布より、巫女や女神の使者が作り出したスカーフの方に人気が出るのは必然。人々は嬉々として左肩に布を巻きます。


「おお、これはご利益がありそうだ」

「こっちよりこれの方が似合うかな?」

「巫女様も面白いことを考えたな」


 スカーフは遊ぶことを知らないセコイアの住人に、お洒落という遊び心を芽生えさせることに成功していました。


「いや〜よく売れるね」


「爽快だな、悪くない!」


 売りっこを務める葵とナキも大忙しです。





 舞台裏。

 そこでは演奏者五十名に指揮者のつつじ、そして進行係の咲楽が待機していました。


「うぅ…いよいよですね」


 咲楽は本番を前にして手が震えています。


「咲楽さんでも緊張するんですね」


 対してつつじはいつだって落ち着いています。


「つつじちゃんは緊張しないんですね」


「慣れてますからね。咲楽さんもこういった状況はお手のものでは?」


「いえ…いつも裏方だったので、表舞台に立つのは苦手ですよ」


「私がついているので、きっと大丈夫ですよ」


 つつじは緊張で冷たくなった咲楽の手を握って励ましてくれました。


「…はい、そろそろ行きましょうか」


 咲楽は覚悟を決めて表舞台に足を踏み込みます。





 とある孤立した一席。

 そこは舞台の近くでありながら、木に囲まれて人の目から隠された穴場。アクリとハナニナにとってこれ以上ない特等席です。


「何だか秘密基地みたいな席だね」


「落ち着く…」


 ここでなら他人の目を気にすること、二人だけの空間で演奏会を観れます。


「そういえばニナ、布は買いに行かないの?」


「…人が多すぎてやめた」


 スカーフは庶民でも手の届く価格で販売されていたのですが、ニナは人混みに負けて買いに行けなかったようです。


「ならよかった…」


 それを聞いてアクリは何故か安堵します。


「よかった?」


「あ、何でもないよっ」


「アクリ、隠しごと多い…」


「えっと…ほら、女神の使者が出てきたよ」


 アクリは慌てて舞台の方向に指をさしました。


「…あんなに若いんだ」


 ハナニナが最初に女神の使者一行を目撃した時、表情は雨具で隠されていたので素顔を見るのはこれが初めてになります。


「悪い人には見えないでしょ?」


「見た目はね…」


「もうすぐ始まりそうだよ」


 咲楽が舞台に登場すると会場は大盛り上がりでしたが、しばらくすると静寂が訪れて観客は女神の使者の言葉を待ちます。


「あー…本日はお集まりいただき、誠にありがとうございました」

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