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第124話 【クリームシチュー】




――――――――――――――――――――

 ~プレザントの食材だけで作るクリームシチュー~


 ①まずは味の落ちてしまった鳥肉、野菜の数々を炒めてから水の入った鍋に投入。灰汁を取りながらじっくり煮込みブイヨンを作ります。


 ②油を敷いた別の鍋でハルカナ産の鳥肉、ネギ、イモ、ニンジンを炒め、火が通ったら薄力粉、塩、クオウの粉を加えます。


 ③炒め終えたらブイヨン、牛乳、チーズを加えさらに煮込み塩で味を調えれば完成です。

――――――――――――――――――――


 咲楽は完成した料理を外の集会所スペースに並べてあるテーブルに運びました。


「簡単に作れるパンも用意しました」


 シチューとパン。

 プレザントの食材だけで作った記念すべき最初の料理は、とてもシンプルなものです。


「それでは、いただきましょう」


「いただきます…」


 咲楽は地球の作法で手を合わせ、アクリはプレザントの作法で手を合わせてから料理を頂きます。


「……美味しい!」


 シチューを口に含んですぐ絶賛するアクリ。

 鳥肉と野菜から出た旨味で作ったブイヨンを活用した料理は、ハルカナ王国では決して味わえない絶品となっています。


「うん、我ながら良い出来です」


 咲楽も初めての試作にしては上出来とご満悦の様子。


「…美味しいけど、サクラ母の料理の方が旨いな」


「うぐ…」


 キユハからは厳しい指摘が飛んできました。

 地球でお母さんの料理を散々食べたキユハは、すっかり舌が肥えていたのです。それにシチューが上手く出来たといってもまだまだ試作の段階、改善の余地は残っています。


「まだ修行中なので、これからです!」


 今回のシチューは及第点。

 料理の試作はまだ始まったばかりです。


(…そういえばハトさんの料理研究、どれくらい進んでるかな)


 自分の料理を見て、孤児院の様子が気になりだす咲楽。

 ハルカナ王国の東にある孤児院。咲楽は孤児院長ハトに地球の調味料を託し、美味しい料理についての研究をお願いしています。


(クロウさんにお願いして孤児院に戻ってみようかな…いや、まずソエルの様子を見てどんな料理を作るのか決めてからにしよう)


 ソエルではどんな食材が余っており、どのような料理が流行りそうなのか、しっかりと見定める必要があるでしょう。

 どんな料理を作るのか、考えるのはソエルに到着した後です。





 温かい露天風呂に浸かり、温かい料理を食べ身も心も温まった三人。


「ふぁ~…眠い」


 アクリは呆けた顔のまま大きな欠伸をしました。

 慣れない環境の中で未知の出来事が立て続けに起き、自由時間になっても気の休まる暇がなかったアクリ。地球の娯楽に癒された今なら何の気兼ねもなく肩の力を抜けます。


「…アクリちゃん、髪伸びましたね」


 そんなアクリの様子を見ていた咲楽。


「うん、私ってすぐ髪が伸びるんだ」


 出会った頃は男の子と見紛うほど短かった髪ですが、今ではすっかり伸びきっていました。アクリはクセの強い髪質なので少し邪魔そうです。


「私が整えましょうか?」


「いいの?」


「任せてください!」


 咲楽は櫛とヘアゴムを使ってアクリの髪をまとめようとします。


「…そうだアクリちゃん、明日は訓練をお休みしてもらえます?」


「え?」


「あと少しでソエルに到着する予定なので、ソエルに来るの初めてなアクリちゃんにはいろいろ教えたいことがあります」


 ギルドの街ソエル到着までもう少し。

 咲楽とキユハは過去の旅でソエルに訪れていますが、アクリにとっては未知の国。入る前にハルカナとは違うソエルの文化をおさらいする必要があるでしょう。

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