声を大にして歌うんだ。
ずっと知ってたよ。
私がまだ地下アイドルをやっていて、誰の目にも止まれずに、誰の耳にも入れずに、新しくでてきた子達にどんどん追い抜かされていっていた頃の私に、たった一人私に目を止めて、たった一人私の声を耳に入れてくれた、君が居たことを。
君以外に私の歌を聴く人が居ないのを知ってステージの近くで応援するのを恥ずかしがりながら、その手に固く握られたペンライトだけは熱い熱を持って暗がりから一際輝いていたことを。
私の歌がようやく君以外の人の目に止まって、ようやく君以外の人の耳に入って、両手に持つペンライトに照らされてやっと見えるその口元が優しく微笑んでいたことを。
私を追い抜かしていった子達になんとか追いついて、そして追い越していく私を、ずっと変わらない熱量で応援してくれていた君が私より先に嬉し涙を流してくれたことを。
私がアイドル事務所にスカウトされて、大きなグループに入った時、初めてのCDを君が真っ先に買ってくれたことを。
初めてのライブの時、ずっと後ろの方で恥ずかしがってた君が、やっとステージの前に来てくれて、ずっと変わらないのに誰よりも熱量をもって応援してくれていたことを。
ずっと知ってたんだよ。
本当は君が私と同じ学校に通っていて、学校に行けていなかった私を心配して来てくれてたことは。
最初は君だって、私にとっては煩わしい存在でしかなかったんだ。
なのに、君が私を学校に連れ戻そうとするどころか、こうして逃げ続けることを肯定して、それを誰よりも応援してくれたから。
君の居る学校に行ってみたくなって、活動の合間に学校に行ける時間をなんとか捻出して、今度は私が君のことを遠目から見る立場になって。
君の優しさが、私にとっては太陽で、凄く暖かくて、君の熱量に私は溶かされてしまいそうで。
君からもらった光と温かさで私の心に恋っていう一生咲き続ける花が咲いたんだ。
知ってるよ。
今日も君が、私の目の前に居て、全身を私に染めて、その両手に持つ太陽で私を照らし続けてくれていることを。
頬が疲れるほど、全力の笑顔で応援してくれていることを。
私は知ってる。それでも知り足りないって、貪欲な私が君のことを知りたいって叫んでるから。
いつかアイドルを卒業するときまでに、今度は私が君の光になれるように頑張るから。
君がくれた熱の何十倍、何百倍もの熱で君と同じ目線で君の前に立ったその時は。
君への愛を、君のためだけに声を大にして歌うんだ!




