第二十五話 鬼神の定義
ヒュンフと出会ってからしばらくその辺を歩いた後、そろそろ戻るかという『ミラー』に賛成して、レイジたちは、戻ってきた。
そうして、扉を開けて入ってみれば、
「おかえり、レイジ。一応、だいたい形には戻ったかな、とは思うんだけど」
ミハエルに歓迎される。
促され見てみれば、
『外見は元通り……ってのは、分かるが……』
あぁ、
『問題は、ここからどうやって鬼神にしてくかってことだよな……』
そう言いながら、悩んでしまう。
……鬼神にするんだから、ロケットナックルは外せねぇよな。それと、ブレイズファイヤーもあった方がいいよな……。でもなぁ……。……『撃雷』は『撃雷』で完成してるからなぁ……。ここにどう手を加えるか難しすぎだろ……。
「元が『撃雷』だからな……。そもそも『ウェアラブル・アーマー』がなきゃいけねぇのに、それがねぇとこから始まってんだ。それだったら、まずは『アーマー』取り付けるとこから……って言いたいがね」
そこら辺おいちゃんも悩ましいな、と『ミラー』が言外で呟く。
そうなのだ。
そもそものスタートが、『内部炸裂式装甲』がない状態で、あくまで外見をそれっぽく見せただけというところから始まっている。
そこから『スパイク・シールド』は取り付けたが、『内部炸裂式装甲』は未だに取り付けられていない。
とは言ってみたところで、
「でもね……。予算がそんなにあるわけじゃないんだ……。シールドとかだったら、そんなに掛からないんだけど、全体にってなると……、流石にね……」
予算がない以上、どこからも捻出できるわけではない。
一応、ハンターまがいのことをしているとは言え、それほど大金を稼げるわけではない。
あくまでも、少し余裕な生活が送れるか送れないか、
その程度だ。
その程度なのに、全身に装甲を……っとなると、流石に手持ちが足りない。
手持ちが足りない以上、ある程度援助して貰わなければいけないのだが、
援助をする余裕は、ない。
あったとしても、出来るだけ自分たちの力でやるというのが、この国のやり方だ。
となれば、ある程度は強度の面で鬼神には程遠くなる気がするが、
『……まぁ、今出来る強化をしてから、少しずつ改良してくって形になんじゃねぇかなぁ……』
「それが今のところ、ベストかねぇ……」
「でも、少しずつって言うと、それはそれで難しくないかい?」
今出来るベストとなると、そうするしかないように思える。
しかし、それは反対に少しずつやっていくために調整しなくてはならないわけで、
となると、結局は、
『いや、最初にどう手を付けるか……ってのが、はっきりすれば、最終的な形としては良いと思うんだよ』
ということになる。
「……えっと……? それはつまり……?」
「最初に何処を手付けるか、ってことだな」
確かにな、と言外で呟く『ミラー』の言葉に、疑問符を上げていたミハエルは納得した様だった。
だが、
「えっ? でも、最初にどうすればいいって、やっぱり難しい様な気がするんだけど?」
「……今言えることは、装甲を強化しようにも金がないから強化できない」
つまり、
「装甲じゃないとこを強化するしかねぇ」
ってなると、
「武装面だわな。『鬼神』の武装で代表的なものと言えば、ロケットナックルとブレイズファイヤー……ジェットサイクロンとハイドライブレーザーとかってなもんだが……」
『ジェットサイクロンとハイドライブレーザーはなしだな……。いや、「鬼神」にはなくちゃいけないんだが』
「ってなると、ロケットナックルとブレイズファイヤーの二つか……」
『……だな』
「……でも、やっぱり増やさないと『鬼神』じゃなくね?」
『……「鬼神」は「鬼神」でも、アニメシリーズは後半から増えたろ?』
だったら、
『余裕がある時に増やすって感じでいいんじゃねぇ?』
「つっても、後半で増えたの、アイアンブレードと回転車輪の二つだし……」
あぁ、
「でも、そうなると、確かにアニメシリーズ後半で増えたから、余裕ある時に増やす案には賛成だな」
それなら、
「まぁ、アニメシリーズと同じ感じにやれるだろうし……。……悪くはねぇかもな」
レイジは、『ミラー』との話で大体の流れを確認できた。
……やっぱり、知ってる奴がいると話が早く進んでやりやすいな。
こういうのなんて言ったっけか。
……阿吽の呼吸?
と思っていると、
「話の流れが流れる様に進んでいいもんだな」
あぁ、
「こういうのなんて言ったっけか。……阿吽の呼吸?」
『打てば応えてくれるから、余計に早く進むってもんだ』
「打てば応える……」
つまり、
「これは、『ヌル』ちゃんとおいちゃんが結婚するしかないのでは……?」
えっ?
「何よ、『エルト』ちゃん?」
えっ?
「君がお兄さんとくっつきたいってのは、分かるけどさ? 君がお兄さんとくっつくってなると、問答無用で私もここにいなくちゃならないんだけど?」
そう言われて『ミラー』は一瞬間黙る。
そして、
「……両手に華?」
『両手に華って言っても、片一方は野郎だけどな』
「おいおい、野郎は華じゃねぇから大丈夫ってか?」
はははっ、
「それだったら、尚更いいじゃねぇか」
『よくねぇって言ってんだ、分かれよ』
「分かってて言ってんだ、分かれ」
レイジと『ミラー』のやり取りを見て、
ティアナとゼクスは、
「お兄さん|と『ミラー』さんって仲良過ぎじゃない? 『ミラー』さんって実は女性だったりする?」
「いやいや、お嬢。女だったとしても、ああいうやり取りってのはそうそうはないぜ?」
しかも、
「自分のこと、おいちゃんとかって言ったりしねぇだろ」
「でも、ゼクスさんとか、自分のこと、オレとか言ってるじゃん?」
「それは癖みたいなもんだ」
「そうなの?」
そしたら、どうなんだろうね? と二人は首を傾げた。
としている一方、
「じゃあ、とりあえず、そのロケットナックル? と、ブレイズファイヤー? の二つってことでいいのかな?」
「『鬼神』にゃ、その二つは欠かせねぇから、その二つでいいんじゃねぇ、ったぁ思うが、どうよ、『ヌル』ちゃん? なんか案あるかい?」
『なんか案って言ってもな……。俺もそれでいいと思うから、大丈夫だ』
「それじゃ、その二つを加えるということでやっていこうか」
ってなるんだけど、
「僕、その二つがどんなものかよく分からないんだよね……」
『ロケットナックルは、文字通り拳を飛ばすもんだな。』
あっ、
『戻って来させるってどうやんだ?』
「おいおい、『ヌル』ちゃん。そりゃ、……アレに決まってんだろ?」
『あれ?』
あれとは何を指すのか、それが分からずに聞き直すレイジに対し、
『ミラー』は口元に笑みを浮かべながら、
「……『魔龍』式だ」
と答える。
その答えを聞いて、更に首を捻るミハエルに対し、
レイジは、閃く。
『ってなると、……打ちっぱなしの、一発限り方式か!!!』
「その方がロマンがあっていいだろ?」
『一発限りで打ってなくなったら、ブレイズファイヤーで……、って感じだったら、イケるか……!!』
「ゲームだと最初は射程1しかねぇが、限界まで改良すればマップ兵器になるロマンの塊だからな……」
『両手を飛ばせるようにしたら、一応、二発はあるから一発外しても次は当てれるな……』
ん?、
『……でも、そうなったら「TBS」使えなくね?』
「だったら、一発打って『TBS』で突貫すりゃ問題なくね?」
『天才かよ……』
「褒めんなよ……」
『褒めてねぇよ……』
「照れんなよ……」
「えっと……? つまり……?」
『あぁ、さっき言った通り、ロケットナックルは拳を飛ばすもので、打ったら戻ってこない一発限りの遠距離武器』
で、
『ブレイズファイヤーは近距離で相手を倒す……、まぁ、文字通りの必殺武器、だわな』
「必殺武器……」
なんだろう……、
「なんかこう……、惹かれるモノがあるね!!!」
「へっ。必殺武器って言葉にゃ、男の子って生き物は惹かれちまう生き物だから、」
ま、
「その反応も分からなくねぇよ……。なぁ、エルトちゃん? 分かるかい? これが男の子って生き物だ」
えっ?
「いや、そもそも、君、男の子って程若くないし、私は女でそんなロマンとかってのは全然分からないんだけど?」
いやいや、
「エルトちゃん。男の子って生き物っていうのは、歳とって爺になっても、いつでも男の子になれる、そんな生き物なんだぜ?」
『まぁ、ロマンって言葉の前には、男の子だったら、惹かれちまうわな……』
「だろ?」
『ミラー』の疑問にエルトが応え、その反応に『ミラー』が応えていた。
レイジはただ単に呟き気味に口にしただけなのだが、
『ミラー』はこちらの言葉にすぐに反応した。
そして、何かを思いついたのか、
「……あぁ、そうそう。ミハエルさんや」
「いや、ミハエルさんやって何その言い方。普通に呼んでくれたらいいんだけど」
「個人的なノリみたいなもんさね」
「ノリとか言われても分からないんだけど……」
まぁ、
「何かな。え……っと、エルトさん?」
『いや、親父殿。今はエルトじゃなくて、「ミラー」だ』
「流石だな、『ヌル』ちゃん!! おいちゃんの旦那だけはあるぜ!!!」
『話し方で判断できるからな』
それに、
『お前の話し方は特徴あるから分かりやすいし、おいちゃんって言い方は、四国生まれじゃ特徴的すぎるからな。俺、高知にいて、お前は徳島だし』
「へっへっへっ。その分、『ヌル』ちゃんとはすぐに仲良くなったよな」
『先輩たちの話し方が訛りが多くて、強制的に分からされるしかなかったんだよ……』
ってか、
『そういう意味だと……。お前、自分のこと、おいちゃんとか呼んでなかったのに、どうした?』
「故郷が妙に懐かしく思う時ってなくね?」
『あるある』
レイジは、『ミラー』の言葉に、納得した。
昔、……今でもそうだが、高校時代の頃や『ダガー付き』らと出会った頃を思い出すときが多々ある。
そういう意味では、ある意味懐かしく思っているということなのだろう。
だとすると、
……『ミラー』も懐かしく思う時があるのか。
懐かしく思うからこそ、おいちゃんとわざと訛りがある話し方で話して、
同郷……というより、訛りでも意味が分かるレイジがいるからこそ、よりテンションが上がった感じ……、だと考えられる。
まぁ、
……それだけ信用されてるってことか。
『……ってか、「ミラー」。俺がお前の知る俺じゃなかったら、どうする?』
「最初に会った時に、合言葉忘れなかったろ?」
だったら、
「おいちゃんが知らないお前でも、おいちゃんはお前として話してただろうし、おいちゃんはおいちゃんとしてやらしてもらう」
そう、
「それだけの話よ」
全くそれだけの話ではないと思うのだが、
……こいつがこういうんだったら、そうなんだろうな。
妙に納得してしまうのは、レイジがレイジで、
変わることがなかったということなのだろうか。
とは言え、
……ま、分からないんだけどな。
そこまではレイジは分からないし、知る由もない。
今は、
とりあえず、レイジの知る『ミラー』が『ミラー』であるのなら、それでいいだろう。
レイジと言葉を交わして、改めて自身が知るレイジなのだと安心したのだが、『ミラー』は、ミハエルに訊こうと思っていたことを訊いた。
「で、ミハエルさんや。おいちゃん、ちと訊きたいことあんだけど、いいかな?」
「訊きたいこと? 何かな?」
「何ぞ? って言われても一つしかないと思うけどな」
『君、君。口調口調』
少し強めの口調て言っていたのに気が付いたのだろう、
エルトが指摘してくる。
自分でも気が付かなかったことに指摘してくれるのは、
非常に有り難いことだ。
なので、
……あぁ、悪い悪い。
心の中で謝っておく。
数回深め呼吸をしておいて、
もう一度、口にする。
「……何かな? って訊かれても一つしかないと、おいちゃんは思うんだけどね?」
「一つ……」
あぁ、
「もしかして、『狙撃銃』のこと? 使いやすい?」
合ってはいたのだが、
「逆よ、逆。……使いにくくてやりにくいわ」
「使いにくい? ……えっ、そんなに?」
「一発しか撃てねぇわ、自動再装填は有難いけど、再装填されるまで短くて4秒長くて五秒って長いだろ?」
しかも、
「おいちゃん大好きなチャージ式じゃねぇ単発式で威力も低いときた。」
これを、
「こいつを、使いにくいと言わないでどうするのよ?」
「……そしたら、どうしたらいいかな?」
いや、
「マシンガン? とかだったら、使うのがレイジだから一応、改良点とか分かるんだけどさ……」
というミハエルに対し、
『ミラー』は笑い気味に答える。
「外から弾入れる口作ってくれたら、それで構わんよ。弾一発だったら……、」
ほれ、
「こんな感じで一発だけなら余裕ってな」
そう言って見せた手のひらには、一発の弾丸……、
に似せた何かがあった。
それを見て、レイジは気が付く。
『もしかして、お前、それをあの筒に突っ込んで、筒のケツ叩いてたのか……?』
「そう、そういうこった」
ま、
「弾は一発だけしか使えねぇが、一発ありゃおいちゃんにはどうにも出来るってな」
と応えていく。
そう言いながらも、
……こいつで全部の謎が解けたって感じだな。
流石、『ヌル』ちゃんだぜ、と『ミラー』は感心する。
レイジはこちらのやり方をよく分かっている。
そのために、合流した時に、すんなりと狙撃銃をこちらに譲ってくれた。
……それだけ信頼されるってのは有難いねぇ。
とは言っても、問題点は他にもある。
それは、
「ま、狙撃銃なのに、スコープが付いてねぇとか他に問題点はあるっちゃあるんだけどな」
一番大きい問題点はそこだ。
だから、、
「おいちゃんはスコープなくても撃てるから、大した問題じゃねぇ。……だから、今一番の問題を言わしてもらったぜ」
といった『ミラー』の言葉に、レイジは、
『成る程な』
と応える。
分かる人間がいる一方で、
分からない人間がいるのが世の常だ。
事実、
「あっ……、えっと、ごめんね? うん、それでケツ? を叩いたら撃てる? ってのがどういう原理なのかがよく分からないんだけど」
ミハエルがそう言いながら手を挙げる。
が、
『いや、親父殿。……このサブマシンガンも同じ原理でケツ叩いてるはずなんだが』
「いや、それは一発撃つ毎に火と風の魔法が連動するように術式を書いてあるだけであって、別にケツを叩く? とか、そういう原理じゃないんだよね」
「ってか、『ヌル』ちゃんの場合、一回六発出る様になってるみたいだけど、一回撃つ毎に冷却? する時間で若干隙が生まれるんだよな……」
「あぁ、うん。一回冷却……というか、連続して使うと術式が燃えて使い物にならなくなるからね」
……ってことは、だ。
ミハエルの言葉から、『ミラー』は考える。
「……別にケツを叩かないで撃てるってことか……?」
「うん。そうだけど?」
『いやいや、叩かないで撃てるってそれはないだろ?』
「いや、そうなんだけど」
『でも、外見は銃のまんまだぜ?』
「君が描いてくれたのをそれっぽくしてるだけ、だけどね?」
二人のやり取りに、『ミラー』は引っ掛かりを覚える。
術式を書いているということは、
……一回使う毎に知らない内に魔法を使っているってことになんじゃね?
そういう仮説が立てられる。
となれば、
「……もしかして、『ヌル』ちゃんよ。戦闘中に一回動けなくなるってことはあったかい?」
『あっ? どうした、「ミラー」。藪から棒に何言ってんだ?』
「いや、ふと思ってな」
『……まぁ、動けなくなるのは時々あったといえば、あったけどな』
でも、
『マシンガン使ってなくても、ブースター吹かしてるだけでも止まったりとかあったぜ?』
「ブースター……」
もしかして、
「実は、それもなんか術式とか書いてあったり……?」
「うん。そうだけど?」
そうだけど、と言われ、
『ミラー』は考える。
……それって、ただ単に魔力切れになってるだけじゃね?
『でも、魔力切れってそうそうなるものじゃないよ? 私だってそんなになったことないし』
自身の考えを否定するように、エルトの声が聞こえる。
確かに、魔力切れというモノはそうそう起きるモノではない。
起きるモノではない……のだが、
……だけど、それって人間なら、とかっていう条件付きなんだよな。
『条件付き?』
……そうそう。普通の人間なら魔力切れなんざそうそう起きるモノじゃないんだが、残念ながら、『ヌル』ちゃんは人……人間じゃねぇ。
『あ~……、そうなると……』
……ってことが起きても不思議じゃねぇ、ってな。
そう考えた方がこの状態では、納得がいく。
訊く。
「そう言えば、ミハエルさんや。『ヌル』ちゃんの動力って魔石とか人造魔力回路とかだったりすんの?」
「……人造魔力回路ってそんなのはいくら僕でも作れないよ」
まぁ、
「レイジの場合は、元々持ってる魔力量が多い魔石を核に、頑丈にしたコアを動力にしてるって感じかな」
「……ってなると、魔力はあんまりないよな?」
「一応、人間が使う倍以上はあるけどね」
ただまぁ、
「戦闘とかになると、身体の制御とかで無意識に使う分が出てくるから……。消費魔力量は普通の人のより多くなるのかな?」
分からないけど、と言外で呟くミハエルの言葉に、『ミラー』は納得する。
「ってこたぁ、『ヌル』ちゃんの武器も改造しねぇといけねぇってことか……」
いや、
「元々改造するものに武器が増えたってだけの話なんだがな?」
どうよ? と『ミラー』はレイジの方を見る。
『すまない』
すんなりと謝罪の言葉を口にしてくるので、
此方は軽く手を振って、
「気にするな」
と言っておく。
気にしたところでどうにもならないことは、
気にしても意味のないことだ。
であれば、
……気にしねぇ方がいいってな。
そういうことだ。
といったところで、
……現状の問題点が粗方出てきましたよってか。
今現在ある問題の中で、
大きい問題が一つ、
武装面で自身の武装の問題と、レイジの武装の問題が一つずつの計二つ、
合わせてみれば、
……現状は、三つか。
ということになる。
まぁ、ライフルの件については、排莢なりをする口を取り付ければ、どうにか解決しそうではあるが、
……『ヌル』ちゃんの方はなぁ……。
レイジの場合は、動力となるコアが魔力炉である可能性が高い。
であれば、いちいち弾を作るよりかは、魔力を弾状に加工して撃ち出した方が早い様な気がしなくもない。
が、
『でも、それって動力炉? の方に回す魔力が少なくなるわけだから、戦闘中に機能停止になるって感じじゃない?』
……そうなんだよなぁ……。
問題点に気が付いたのだろう、
エルトが的確に疑問を上げるのを、
『ミラー』は内心で頷く。
そうなると、
……最初に何発か入れといて、全部打ち切ったら自動で補充するみたいな感じにするっきゃねぇか。
そうした方が良い様な気がする。
『その方がいいの?』
……今でさえ、弾撃ったら再装填して撃てるようになるまで時間が掛かるんだよな。
でも、
……そうなってたら、全部撃ち切るまでは魔力が減る心配はないわけよ。
『撃ち切ったら、ちゃんと撃てるのか心配だね』
……それなんだよなぁ……。
そうだ。
形を与えておけば、それになろうとして魔力が形をとる……だろうとは思う。
が、
一度撃ち切ったものがもう一度、そう形をとるのかは『ミラー』自身もやったことはないので、確証がない。
一回一回、ちゃんと形を作ってから撃つのとは、話が違うのだ。
そうなると、レイジの武器にもまだまだ問題点が多いと思ってしまうが、
今の段階では、
……ま、今の段階で言えることは、マシンガンとかのアプローチはなしってことだわな。
『どうするの?』
……そりゃ、『鬼神』化を優先にして、他のことは後に回すってことよ。
そういうことになる。
であれば、
「まぁ、なんだ。おいちゃんのライフルの件は暇あった時にでもやってくれ」
「いいのかい?」
「口作る位どうってこたぁないっしょや。ケツ叩くように改造するのは、おいちゃんがやっちゃるけんの」
『いや、だから、君。口調口調。なまってるから』
そういう風にしておいた方がいいだろう。
エルトに対しては、心の中で謝っておくことにする。