先輩と俺
「――君頼みがあるの」
後ろからかかけられた声は憂いを含み何故が現実感がなくて。
思わず振り返り様になる。
頭を振う。
そんな事をすれば彼女の思惑どうりだ。
ダメだと分かっている、わかっているはずだが。
でも、それも振り返りたい気持ちは頭をもたげる。
――先輩。
俺の二年上の先輩であり俺に声をかけた主である
なら何故振り返らないと言われても仕方ないが、これには理由がある。
それは彼女がいくら整った顔を持とうと。
いくら胸が豊満で引き締まった体を持とうと。
大企業の社長令嬢であろうと。
彼女に好んで語り掛ける人間は俺を含めごくわずかでしかない。
「待ってよ。――君、今日こそ私の――」
「先輩やめてください」
後ろを振り駆らず答える。
「でも――君。君じゃないと私にかけられた呪いは――」
「先輩なんで俺なんですか」
「だって……君の事が好きだから」
好き……だって……。
思わず俺は振り返った。
先輩の頬は朱に染まり、曇りなき水晶のような瞳で俺を見つめる。
これで聞き間違えの選択肢は消えた。
向けられた好意の逃げ道を失った俺は先輩につられて頬が熱くなる。
俺はしっかりと先輩を見た。
サラサラの長髪。
白くてきめ細やかな肌。
触れれば心地よい弾力を返すであろう唇。
その顔は高貴な印象を受け人間離れするほど整っていて。
先輩の熱のこもった視線はむず痒いけど嫌ではない。
近くにいて見慣れたと思っていたはずだった。
でも、変わらないはずの今の先輩は何故か魅力的で。
先輩は無言で俺の胸に顔を埋めた。
思わず背中に手を回す。
何故かそうしなければいけない気がした。
まるで大事な宝物を抱きしめているようで。
大事な宝物を奪われない様に手に納めているようで。
俺は先輩の頭をゆっくり撫でた。
俺は気付いてしまった。
彼女への好意をずっと持っていたことを。
初めて会った日から気づけば彼女を目で追っていた。
なんで気づかなかったのだろう。
こんな大切な気持ちを。
俺は彼女の肩を掴み、体から少し離す。
先輩は俺の意図を察して唇を尖らせる。
俺はそっと唇を重ねた。
小説ってむずいね。