痛み
右腕に灯る灼熱如き感触。
彼は一瞬の出来事にその感触を痛みと認識することができず。
ただ血が吹き出る腕を見ていた。
次に出てきたのは口から湧き出る嗚咽と刺すような激痛。
イタイイタイイタイ
まだ彼は完全に理解できてはいない。
イタイイタイイタイ
しかし、右腕の痛みはそれを意に帰さず無情に冷徹に痛みの信号を頭に送る。
イタイイタイイタイ
傷口を塞ごうと左手を押し当てても、血を止めようと残った腕の肉をいくら強く掴もうとも。
イタイイタイイタイ
無様に転げまわる。
イタイイタイイタイ
まるで、彼の抵抗をあざ笑うかのように傷はその口から血を絞り出し、その礼とばかりに強い痛みは列をなし命を削る。
痛い――いたい――イタイ――
そればかりしか頭に浮かばない。浮びようもない。
喉は苦痛の呻きに埋め尽くされ。
思考は自らの近づく死の足音を聞く。
命の滴は少しの時間で絶えるだろう。
彼は痛みに埋め尽くされた頭を動かし焦点の定まらないその目で見た。
痛みの元凶を自分を倒したその男を。
祖国の敵を。
コツはわかってきたけど。
それを短い地の文に流用できるようにせんとかんやで。