秘めた気持ち
「お前。俺の事どう思てる?」
やっと振り絞った声は気を抜けば空に四散してしまうように朧気で。
胸の鼓動はうるさい程に脈打つ。
彼女は小奇麗に整った顔に嵌る大きな目で俺を映し、不思議そうな顔を浮かべている。
「どうって友人の一人でしょ?」
それを否定したくて思わず抱きしめてしまった。
俺の体は一瞬の後悔で強張り。
彼女の体は柔らかく女性と特有の甘い匂いがする。
抱きしめれば折れてしまうような華奢な体は、ほんのり火照っていて心地よく暖かい。
俺の腕に収まる彼女は困惑の色をともした言葉を放つ。
でも、俺は抱きしめた腕を僅かに力を入れる。
大事な宝物でも抱きしめているような錯覚を覚えた。
自分の物でさえないのに。
胸に灯る誰にも渡したくない独占欲。
俺は鼻孔をくすぐる甘い香りの熱に浮かれされしまったように、
「好きだ」
たった一言の俺の気持ちの表現。
たった一言なのに口から出た言葉は確かな重みをもち。
今にも言葉が大地に落ちてしまいそうだ。
「な……なに言ってるの?」
彼女の困惑の色は増々深まりを見せるが、俺の気持ちはまぎれもない真実だ。
俺の心臓は密着した彼女に届けと、必死になって痛い程脈打ち。
胸が締め付けられる感触。
これが、恋の病ならば甘んじてうけいれよう。
俺は彼女を彼女だけを、
「好きだ愛している――俺じゃお前と釣り合わないなんて、わかってるんだ。ライバルが沢山いてそいつらにすら負けているってでも、好きなんだ――」
「待って」
彼女は俺の唇に肉付きが薄いながら柔らかい人差し指を当てて口を塞ぐ。
「私から言うつもりだったのに」
「それって」
「そういう事よ」
もう少しで何か掴めそうな予感




