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乱獲にいこう

「――、前に言ってた山に狩りにいくわよ」

 

 なんてこと言い出すんだこいつ。

 目を細め声なき抗議の意見の鱗片を顔に出す。

 全くコイツは、どうせ言っても聞かねえだろうか口にださないが、変人もここまでくればある意味立派なにかもな。

 普段からこいつの変人ぶりは、知っているが今回は流石に今回は。

 だって山で狩りだぜ。

 しかも、UMA(未確認生物)を狙ってだ。

 普通に嫌だそれ。

 山には虫が多し、この夏の季節はセミがうるさい。

 水場には蚊柱だってある。

 あれうざし、血を吸わないタイプの蚊の集団だとしていても、気分がいい物ではない。

 俺も男だから、小さい頃飼っいやカブトムシやクワガタなら好きだが他の虫は、あの独特のフォルムを見るだけで寒気が走る。

 見るだけなら黄金虫――カナブンやタマムシなら観賞用としては優秀だが、触る気きはなれない。

 何故カブトムシとクワガタが例外かは俺もわからんさ。

 男の性ってやつだろう。


 「後、小金稼ぎでクワガタとカブトムシとるんだから気合入れなさいよ」


 とばっと両手を広げる。

 最低十匹取れというのか。

 まぁそれぐらないらなんとか。

 いや待て、俺は参加すると言ってないぞ。


 「ちなみに指一本で十匹あわせて百匹よ」


 なんだって?

 聞き間違いか、百匹と聞こえた気がするが。


 「聞き間違いじゃないわよ。一人ノルマ百匹全員で取れば五百匹ね。山に行けばそれぐらい取れるでしょ」


 「お前は山を何だと思っている。山は虫の乱獲場じゃないんだぞ」


 山のカブトムシとクワガタを取り尽くすというモラルのなさは思わず感服してしまう。

 大体どうやってそんなに取るんだ。


 「大丈夫よ。私にはこれがあるから」


 金属の筒のスプレーを差し出す――子。

 見かけは殺虫剤に見えるがラベルに『昆虫フェロモンEX』と書かれていた。

 何これ怪しさ満点じゃないか。

 ――子の説明によるとこれを一回吹きかければ、虫が群がって虫玉ができるらしい。

 これを使えばというが、落ちが見え見えなんだが。


 「大丈夫まだ一回しか使ってないけど物凄い効果よ」


 「まさか、お前昨日のニュースの公園の虫玉――」


 「あーあー聞こえない」


 俺たちは気付かなかった。

 このスプレーはあの黑い悪魔にも効果てきめんな事を。

 山に住まう奴らの数を。


 

 

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